【CNH】人民元の特徴と値動き、FX取引時のメリットとデメリット

  • 更新日: 2019/01/23

近年めざましい経済成長を遂げる中国は、日本とは地理的、歴史的にも関係の深い国です。

世界の工場として経済成長した中国には、北京や上海などの大都市圏をはじめ、各地に日本企業が進出しています。

その反面、共産主義国であることから、その実態はよく分からない、という人も多いのではないでしょうか。

今回は、中国の法定通貨である人民元がどのような通貨なのか、ということはもちろん、実際に取引する際のポイントについて解説します。

2018年 人民元(CNH)の見通しは?

2018年の中国経済について、中国社会科学院は実質GDP成長率を6.7%前後と予想しています。

その予想どおり、中国国家統計局が2018年7月16日に発表した2018年4月~2018年6月の実質GDP成長率は6.7%となっていて2017年以降、緩やかに減速しています。

ただし、中国は2018年の政府の成長率目標として+6.5%という数字を掲げていますので、その数字についてはクリアしたことになります。

今年について、中国社会科学院は元々緩やかな減速を予想していました。その理由として、2012年に生産年齢人口がピークを迎え、その後は減少していることや、生産性を測る指標である全要素生産性(TFP)が伸び悩んでいること、固定資産投資が縮小し、資本ストックの伸びが縮小していることなどを挙げています。

それを裏付けるように、2018年1月~2018年6月の中国の固定資産投資は、地方政府の債務抑制の影響でインフラ投資が減少していることもあり、前年同期比+6.0%となっています。

2018年1月~2018年5月までの伸び率(+6.1%)から縮小しており、緩やかな減速傾向にあることが伺えます。ただし、今後、地方政府の債務抑制が緩和することや、IT関連の投資や生産は増加する見込みであることから、急激な景気減速はしないと見られています。

さて、そんな中国で心配されているのが、米中貿易摩擦です。中国の景気は近年減速傾向にありますが、世界経済は回復傾向にあったため、同国では輸出を中心に、景気の下支えをしてきました。

しかし、米中貿易摩擦が中国の景気回復に水を差すと見られています。トランプ米政権による中国への関税は、自動車や情報通信機器などのハイテク製品が中心となっている一方、中国から米国への報復関税は農産品が中心で、主に飼料用の大豆やとうもろこしなどが対象となっています。

このことが原因で、中国ではこれら飼料の価格が上昇しており、今後、食料品価格にも影響が出ることが懸念されています。

また、米中貿易戦争を受けて、人民元にも影響が及んでいます。米国は中国が報復に出た場合、最大4,500億ドルの中国製品に輸入関税を課す可能性を示唆するなど強硬な姿勢を崩しておらず、米中貿易摩擦の激化を受けて、6月に人民元は対米ドルで大幅に下落し、年始からの上昇を打ち消しています。

元々、米国の利上げにより、新興国通貨である人民元は売られやすい地合いにありましたが、5月の中国の経済指標が冴えなかったこともあり、下落基調となりました。

そこに米中貿易摩擦が発生したため、人民元は6月半ばから同月末までの2週間で2.9%も下げています。米中貿易摩擦はいまだ収束を見せていませんので、今後も元相場は下落しやすいと考えられます。

また、米中貿易摩擦による影響が、中国の経済指標にも表れるようになった場合、元には強い下落圧力がかかると考えられます。そのため、2018年の元は下落しやすい傾向にあることを念頭に置いて取引した方が良いでしょう。

人民元(CNH)の特徴

オンショア人民元(CNY)との違い

中国元には3種類あります。1つめは中国本土のみで取引できるオンショア人民元(CNY)、2つめは、中国本土外で取引されるオフショア人民元(CNH)、3つめは中国本土外で取引されるオンショア人民元のNDF(通貨の受け渡しを行わない差金決済。CNYやCNHとは無関係に取引される傾向がある)です。

FXで取引されるのはこの中のオフショア人民元(CNH)です。なお、オンショア人民元(CNY)とオフショア人民元(CNH)は通貨コードが異なるものの、同じ貨幣です。ただし、ISOで、人民元の通貨コードはCNYと定められています。

「管理フロート制」と呼ばれる半固定半変動相場制を採用

人民元は円やドルのような変動相場制ではありません。また、香港ドルやデンマーククローネのような固定相場制でもありません。

人民元は2005年7月より管理フロート制と呼ばれる管理変動相場制へ移行しており、人民元の為替レートは、通貨当局の管理下におかれて一定の範囲で変動するようにコントロールされています。

一般的に、管理フロート制は、変動相場制に完全に移行するまでの経過措置であることが多いようです。

また、人民元は通貨バスケット制も導入しており、ドル、ユーロ、円、韓国ウォンを主要通貨に置き、シンガポールドル、ポンド、豪ドル、加ドルなど、11通貨と連動するようにしています。

2015年のチャイナショック

2015年8月11日に、中国の中央銀行である中国人民銀行が人民元を対米ドルで切り下げました。翌12日にも行い、2日間で合計3.5%の切り下げをしたのです。

この切り下げは、2015年7月の中国の貿易輸出額が前年同月比-8.3%になったことを受けて行われたと考えられています。

中国の貿易輸出は、2015年3月より下落基調にあり、7月に下落幅が拡大したことを受けて、輸出拡大のための施策の一つとして人民元の切り下げが行われました。

しかし、これが、中国経済の先行き不安を増幅させてしまい、上海株式市場では株価が暴落し、その影響は、東京、ニューヨークなど海外市場にも波及しました。

2015年8月21日にはNYダウが前日比500ドルを超える下落となり、同年8月24日の東京市場では、日経平均が急落し、前営業日比1,000円に迫る下落を見せる場面もありました。

そして、この日の上海株式市場では、上海総合指数が8%超の暴落を見せています。その結果、投資家のリスク回避姿勢が強まり、逃避通貨である円はもちろん、ユーロにも買いが集まり、円高とユーロ高が進むことになったのです。

取引にかかる資金が安く、スワップポイントももらえる

人民元は取引に必要な資金が比較的安く済むのが特徴です。1人民元は、過去15年の中で最も高い時でも20円台です。そのため、取引に必要な資金がドル円やユーロ円などに比べて抑えられます。また、スワップポイントは、人民元/日本円は買いポジションの場合に付与されますが、少ないようです。

主な上昇要因

      国際情勢米国との貿易摩擦の鎮静化
      政治米国との協議の実現、外貨持ち出しの監督管理強化
      金融政策中国人民銀行が人民元の中心レートを元高方向に設定
      経済指標消費者物価指数、国内総生産(GDP)、小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資が上振れた時
      その他ドルの利下げ、ドルの下落、格付け会社による格上げ

主な下落要因

      国際情勢米国との貿易摩擦の激化
      政治米国との協議の難航
      金融政策中国人民銀行が人民元の中心レートを元安方向に設定
      経済指標消費者物価指数、国内総生産(GDP)、小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資が下振れた時
      その他ドルの利上げ、ドルの上昇、格付け会社による格下げ

米中貿易摩擦の激化とともに、人民元は対米ドルで大幅に下落しています。2018年8月3日には1ドル=6.89元まで下落し、2016年末から2017年初頭の最安値の1ドル=6.96元にあと少しのところまで迫る下落となりました。

人民元の下落については、米中貿易摩擦の懸念からくる、投資家のリスク回避の元売りによる影響もあります。しかし、原因はそれだけではないという見方もあります。

それは、中国当局が貿易摩擦による輸出減少を少しでもカバーするために、元安を容認するどころか、誘導しているのではないか、ということです。

すでに書いたとおり、これまで中国が市場で存在感を増す裏付けとなった経済成長には陰りが見え始めています。その一方で、米国の経済は底堅く、回復が確認されています。そこにFRBが利上げしたことで米中金利差が拡大したため、元はもともと下落しやすい傾向にありました。

米国の中国への関税措置は、中国経済のけん引役である貿易に悪影響を及ぼすため、中国の経済成長は下押しされます。今後も米国は中国への関税賦課を行う予定でいるため、投資家のリスク回避から、今後も中国元は下落しやすい傾向にあります。

また、中国当局は減少する輸出を少しでも下支えするために、元安を容認する可能性があります。そのため、先日つけた1ドル=6.89元を割り込む可能性があることを念頭に置いた方が良いでしょう。

人民元はこんな人におすすめ!

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人民元をFX取引するメリット

高金利でかつ少ない証拠金で取引可能

すでに書いたとおり、人民元は取引にかかる資金が安い通貨です。過去15年の中で最も高値圏にあった時のレートで考えてみましょう。ここでは、1元=20円台とします。

その場合、1万通貨の取引にかかる資金は、レバレッジをかけない状態(レバレッジ1倍)で20(円)×10,000(通貨)=20万円となります。ここに10倍のレバレッジをかければ2万円、25倍のレバレッジをかければ8,000円の資金が取引に必要である、ということになります。

現在の元のレートは16.30元(2018年9月18日現在)ですので、例に挙げた金額よりも、さらに安い金額で取引できるということになります。

将来的な成長可能性&変動相場制への移行を期待

中国はこれまで目覚ましい経済成長を遂げ、世界第二位の経済大国の位置まで上りつめました。ただ、現在は同国が世界で存在感を増すきっかけになった経済成長は鈍化しており、米国との貿易摩擦も抱えているため、今後の見通しが不透明な部分もあります。

なお、中国は現在管理フロート制を採っていますが、通常、管理フロート制は、固定相場制から変動相場制へ移行する際の経過措置として採用されます。そのため、中国はいずれ、変動相場制へ移行するのではないかとの見方がされています。ただ、その道のりは長く険しいものになると考えられています。なぜなら、中国は共産主義国家であるからです。

中国では、経済に資本主義を一部取り入れていますが、共産主義国家ですので、基本的には計画経済です。計画経済に変動相場制を取り入れてしまうと、計画経済の元となる為替レートが、国家ではなく市場原理によって成立することになるため、計画経済は成立しなくなり、ひいては、共産主義国家が崩壊することになります。

中国の体制崩壊につながりかねないため、すぐに変動相場制に移行するとは、現状考えにくいのです。また、変動相場制になった場合、現在中国が規制している資金移動も自由になり、中国から莫大な資金が流出する可能性があります。

このように、中国は、共産主義に資本主義を一部取り入れているが故の矛盾を抱えています。いずれ変動相場制になったとしても、その時、中国の政治体制が現在の共産主義のままなのか、という疑問があることは知っておいた方が良いでしょう。

人民元をFX取引するデメリット

中国当局の動向がレートに大きく影響を与える

人民元は、管理フロート制であるため、通貨当局の管理下におかれて一定の範囲で変動するようにコントロールされています。そのため、中国当局の意向がレートに影響を与えることも珍しくありません。

すでに書いたとおり、元安は中国にとっては輸出の際に有利に働きますので、元安が極端に進んでも通貨当局が黙認するケースもあります。当局にとってどのような状態がベストなのかはケースバイケースですが、市場原理でレートが動く変動相場制とは違い、国の意向が入ることに注意が必要です。

隣国の割には不透明な部分が多く、情報収集が難しい

中国は、他の資本主義国家と同様、政府が経済指標を発表しています。ただ、中国の中央政府が発表する統計には整合性がなかったり、政治的な意向が強く反映されたりすることが珍しくないため、正確な情報は手に入りにくいことを知っておく必要があります。

人民元のトレードで取るべき戦略

人民元は、経済指標や要人発言などを受けて動きます。例えば、鉱工業生産、固定資産投資といった指標に注目してトレードするのも一つの方法です。

指標発表時はどう動くか分からないのでトレードは避けるべきですが、結果が分かった後、どのようなトレンドになるのかを考えてトレードすることは可能です。

現在、中国は景気減速が懸念されており、米国との貿易摩擦を巡り、今後中国の輸出にも影響が出ることが予想されています。減少が見込まれる輸出を下支えするため、中国当局は人民元安も黙認しているとの話もあります。

このことを踏まえると、鉱工業生産、固定資産投資といった指標が事前予想を下振れた場合、強い下降トレンドになることが考えられます。

また、ほぼ事前予想通りの結果になった場合は、これまでのトレンドの流れが続く、ということになります。反対に事前予想を上振れた場合は、それまでのトレンドが反転する可能性がある、ということになります。

まとめ : 人民元は○○

人民元はドルやポンド、ユーロなどに比べると、少額で取引できるというメリットがあります。管理フロート制で、中央政府の意向が反映されやすい通貨ではありますが、経済指標や長期的なトレンドを確認しながら取引する、という点においては他の通貨と変わりません。

スプレッドが広いというデメリットがあり、超短期でのトレードには向かない通貨ですが、中長期でのトレードをする場合は取引しやすい通貨かもしれません。

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監修者紹介/FX専門家 五十嵐勝久

中央大学経済学部卒。アルゴ株式会社代表取締役。銀行や証券、FX会社に勤務し、営業、企画、マーケティング部に所属。40歳で会社を辞めて起業。現在はFXや証券会社などのプロモーション業務、システム開発を行う一方、システムトレーダーとしても活躍。

> FX専門家 五十嵐勝久について
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