FXのボラティリティとは/価格変動率に注目したトレード戦略

  • 更新日: 2019/07/17

FXの戦略を考えるために色々な情報に触れるトレーダーは多いのではないかと思います。その際、時折ボラティリティという単語を耳にすることがあるのではないでしょうか。

しかし、ボラティリティがどのようなものかを知らないという人も多いようです。

そこで今回は、

  • ボラティリティがいったい何なのか分からない。
  • ボラティリティがトレードにどんな影響を与えるのか知りたい。

という人に、トレードの損益に大きな影響を与えるボラティリティについて解説します。

ボラティリティはFXに限らず、トレード全般で注目されています。

また、ボラティリティの基本的な考え方や、ボラティリティを利用したトレード方法などもご紹介します。

ボラティリティがどのようなものか理解し、トレード戦略の参考にしてみてはいかがでしょうか。

ボラティリティとは

FXや株などの投資商品を取引していると「ボラティリティ」という言葉を聞くことがあります。

ここでは、多くの投資家が注目するボラティリティがいったいどのようなものなのか、解説していきます。

ボラティリティの基礎知識

ボラティリティとは、価格変動率のことを指します。FXや株などの投資商品は、取引の状況次第で値上がりしたり、値下がりするといった価格変動が起こりますが、その値動きの激しさのことをボラティリティといいます。

例えば株の場合であれば、個別銘柄がある一定期間にどの程度価格変動したか測るためにボラティリティに注目します。また、それ以外にもボラティリティを計る指標があります。それはβと呼ばれる指標で、日経平均やTOPIXなどの市場平均の値動きに対してその個別銘柄がどの程度連動して値動きするかを計ることができます。この数値の絶対値が大きければその分値動きが激しく、ボラティリティが高いということになります(なお、プラスの場合は市場平均に連動していて、マイナスの場合は市場平均とは反対に動いていることを示します)。

為替の場合には、ボラティリティはPipsで見るケースが多くなります。その通貨ペアが一定期間の間に、Pipsがどのくらい動いたのかについて掲載しているサイトもあります。また、1分、5分、15分といった短時間から数時間、1ヶ月といった長期にわたるものまで、その期間中どれくらいの値動きをしたのか、複数の通貨ペアについて掲載しているサイトもありますので、どの程度の値動きがあるのか判断する際の参考にすると良いでしょう。

為替において、ボラティリティはとても重要です。先ほど書いたように、ボラティリティは値動きの激しさを表したものであるため、値動きの少ない通貨ペアを取引した場合には為替変動による損失を減らすことができる一方で、得られる利益は小さくなってしまいます。また、値動きの大きな通貨ペアを取引した場合、為替変動により得られる利益は大きくなりますが、その反面損失も大きくなってしまいます。

目標利益が同額である場合、それを達成するまでの時間を考慮すると、まったく損失が発生しないと仮定すれば、ボラティリティが大きい方が達成するまでの時間は短くなります。しかし、損失の発生を考慮した場合、損失が大きくなるのはボラティリティの大きい方です。

ボラティリティの大小にはそれぞれ長所と短所があるので、一概にどちらが良いと言いきることはできません。

時間帯ごとの値動きの特徴については、下記サイトにてご紹介していますのでご参考ください。

ボラティリティの基本的な考え方

FXをはじめとした投資で注目されるボラティリティは、標準偏差と深い関係があります。標準偏差とはデータのばらつきの度合いを表す指標のことで、平均値に対してデータがどれくらい散らばっているのかを計るものです。投資でもよく使われていて、ボラティリティを使ったテクニカル指標もあります。

FXや株といった投資商品の価格変動についても、標準偏差の考え方が適用されています。中でも、正規分布は投資において重要な考え方です。

正規分布というのは左右対称の確率分布図のことで、釣り鐘や富士山に似た形をしているのが特徴です。真ん中に山があり、その中央の最も盛り上がっている部分が平均となります。

正規分布は

(f(x))=1/σ√2π exp{-(x-μ)^2/2σ^2}

という複雑な式で表されます。

なお、μは平均でσは標準偏差のことです。また、分散は標準偏差の二乗(σ^2)ということになります。

正規分布は平均であるμが0、そして、分散であるσ^2が1となるもののことを言います。つまり、正規分布における分散は標準偏差1または-1ということになります。

正規分布では、[-σ、σ]を1σ区間としていて、ここに入る確率は68.26%となっています。また、2σ区間([-2σ、2σ])に入る確率は95.44%、3σ区間に入る確率は99.73%となります。

FXをはじめとした投資商品では、過去のレートがどの程度分散したのかを知るために標準偏差の考え方を使った指標を使っています。これをヒストリカル・ボラティリティといい、レート(投資商品の資産価格)のばらつきの大きさを示しています。このヒストリカル・ボラティリティは、過去の日時変動率の標準偏差を年率で表したものです。なお、その際には%で表します。

例えば、ある投資商品A、Bがあるとします。5日間のうち、Aはそれぞれ前日比-1%、3%、-2%、1%、-1%という値動きをし、Bはそれぞれ前日比-3%、9%、-6%、3%、-3%という値動きをしたと仮定します。

この場合、BはAの3倍激しい値動きをしているということになります。しかし、通常の平均(算術平均)で計算した場合はどちらも0になってしまうので、ボラティリティではAとBそれぞれの値動きを二乗して出た数字を合計し、平方根を取ります。

この場合、AもBも平均は0ということになりますが、標準偏差はAが2√(1+9+4+1+1)、Bが2√(9+81+36+9+9)となり、Aは4%、Bは12%となるので、BはAの3倍ボラティリティがある、ということになります。また、ヒストリカル・ボラティリティはAが4%、Bが12%ということになります。

そして、例えばAであれば、5日間で±4%の範囲に68.26%の確率で、±8%の範囲に95.44%の確率で、そして、±12%の範囲に99.73%の確率で収まる、ということがわかります。

ボラティリティに注目して取引するには

上記では、ボラティリティの基本的な考え方について述べました。正規分布における分散の考え方を利用してボラティリティを算出し、日々の変動率を見てヒストリカル・ボラティリティの範囲内に収まっているかどうかをチェックし、これ以上は上がらない・下がらないなどといったことを判断することもできます。

しかし、このような複雑な意味でのボラティリティではなく、単なる値動きを指して「ボラティリティ」というケースもよくあります。それが、最初に紹介したようなPipsに注目したボラティリティとなります。

このケースの場合、毎日Pipsが大きく動く通貨ペアはボラティリティが高い、ということになります。つまり、高値と安値の幅が大きいということです。その場合、Pipsが大きければ大きいほど、大きな利益を得られるチャンスがある、ということになります(もちろん、大きな損失を被る可能性もありますから注意が必要です)。

このように毎日Pipsが大きく動く通貨ペアの場合は、例えば同じ一日であっても、大きな利益を得る可能性のある機会が多いということになります。しかし、Pipsがあまり動かない通貨ペアの場合は、同じ一日であっても大きな利益を得られる可能性が少ないため、トレードしづらくなります。ある程度の利幅を得たいのであれば、やはり一日の変動が大きい通貨ペアをを選んだ方が良いでしょう。

あまり動かない通貨ペアの場合は、大きく動く通貨ペアよりも利幅が小さくなるか、あるいは時間をかけて同じ利幅を取っていかなくてはならないということになります。

このように、一定期間に動いたPipsをボラティリティとする場合は、その期間中に動いたPipsの大きい通貨ペアほどボラティリティが高いということになり、利幅も損失額も大きくなる可能性が高い、ということになります。

ボラティリティの高い通貨と低い通貨のどちらを取引するべきかということについては、考え方によっても変わります。「大きな損失を被る可能性があるというリスクを取っても、それほど時間をかけず、利益を出したい」という考え方なのか、あるいは、「ある程度の利益が出るまでに時間がかかることを理解した上で、損失を抑えた取引をしたい」という考え方なのかで、選択肢が変わります。

ボラティリティとテクニカル指標

先ほど紹介した、標準偏差の考え方に基づいたボラティリティを利用したテクニカル指標もあります。

そのテクニカル指標の中で、最も知られているのがボリンジャーバンドです。ボリンジャーバンドは米国のテクニカルアナリストであるジョン・ボリンジャー氏が考案したもので、トレンドとボラティリティを分かりやすく表したテクニカル指標です。

ボリンジャーバンドはすでに紹介した正規分布の例とは違い、平均からの差を見るのではなく、移動平均からの差を見るという点が異なっています。

ボリンジャーバンドでは、移動平均線より±1σ、±2σ離れたところに線を引きます。バンドの幅が狭いともみ合い、バンドの幅が広がるとトレンドが発生していることを表しています。

ただし、ボリンジャーバンドは正規分布と似てはいますが、正確には違うということに注意が必要です。とはいえ、±2σの外に出ることはボリンジャーバンドでも稀なことなので、±2σの外に出てしまった場合、再びボリンジャーバンドの内側に戻ることがほとんどです。

ただし、ボリンジャーバンドの内側に戻ることが、イコール「レートが上昇する」「レートが下落する」ということにはならないことに注意が必要です。レンジ相場の時は±2σを割り込むとレートが上昇したり下落したりしますが、トレンドが強く出ている時はそうはならないことがほとんどです。トレンドが強く出ている時は、ボリンジャーバンドの内側に戻るというだけなので、そこからトレンド転換して上昇したり下落したりすることはなかなかありません。

ボリンジャーバンドに関しては、このことを理解しておく必要があります。

エントリーポイントの判断方法ついては、下記サイトにてご紹介していますのでご参考ください。

ボラティリティに注目したトレード戦略

ボラティリティに注目してトレード戦略を立てるには、どうしたら良いのでしょうか。

ここでは、ボラティリティに注目したトレード戦略を紹介していきます。

通貨ペアによって大きく動く時間を考える

先ほど、通貨ペアによって値動きが大きいものと小さいものがある、という話をしました。しかし、よく値動きする通貨ペアであっても時間帯によってはそれほどの値動きがないものもあります。

例えば、ドルストレートの通貨ペアは東京時間の場合はあまり動かないものが多いのです。ドルストレートとは言っても、ドル円や、東京と同様に市場が開いているオーストラリアの豪ドル/米ドル、ニュージーランドのNZドル/米ドルなどは動きますが、それ以外の通貨ペア…例えば、ユーロドルやポンドドルなどは、動きに乏しい傾向があります。ですからこれらの通貨ペアを取引する場合は、その通貨ペアの発行国の市場が開いている時間に取引した方が良いでしょう。

東京市場はアジアとオセアニアが中心の市場であるため、仮にドル円であっても、ロンドン時間やニューヨーク時間ほど大きく動かないケースがほとんどです。そのため、ドルストレートの通貨ペアでも、多くのトレーダーは、ロンドン時間やニューヨーク時間に取引しています。また、ドルストレートがよく動くので、この時間帯はユーロ円やポンド円といったクロス円の通貨ペアも影響されて大きく動きます。

このように、Pipsを大きく取りたいのであれば、トレードする時間帯にも注意して取引した方が良いのです。

通貨ごとの特徴については、下記サイトにてご紹介していますのでご参考ください。

ボリンジャーバンドを使ったトレード例

先ほど紹介したボリンジャーバンドは、ボラティリティを分かりやすく示したテクニカル指標です。すでに書いたように標準偏差を取り入れた指標になっているので、±1σ内に価格が納まる確率は68.3%、±2σ内に価格が納まる確率は95.5%、±3σ内に価格が納まる確率は99.7%ということになり、±2σの外にレートがある場合は、レートの内側に戻る可能性が高いということになります。

ボリンジャーバンドの基本的な動きは3種類あり、それぞれ「スクイーズ」「エクスパンション」「バンドウォーク」と呼ばれています。

スクイーズはもみ合いの時に起こるもので、レートの動きが小さくなるのに応じてボリンジャーバンドの幅も狭くなります。この時に±2σの外にレートが出た場合は、そこからバンドの内側に戻りますが、その際、上昇または下落するケースが多いのが特徴です。

「ボリンジャーバンドは逆張りに有効」と一般的に言われていますが、それはスクイーズの状態のことを言っていることが多いのです。

エクスパンションという状態はスクイーズの後に出ることが多く、バンドが大きく開いた状態をいいます。エクスパンションは、もみ合いからトレンド相場に移行したことを示しています。

そして、バンドウォークとは、エクスパンションの状態の時にボリンジャーバンドに沿ってレートが動く状態のことをいいます。エクスパンションの状態でバンドウォークが発生した場合は、非常に強いトレンドが出ていることを表しています。

なお、エクスパンションの状態でなくてもバンドウォークが発生することがあります。このような時は値動きが荒くなる傾向にあります。

エクスパンションの状態でバンドウォークが発生した場合は、バンドウォークにそのまま従う「トレンドフォロー」が有効となります。

また、ある程度トレンドが出ている状態で、ボリンジャーバンドがスクイーズでもエクスパンションでもない状態の場合は、ボリンジャーバンドの傾きに従ってトレードします。つまり、ボリンジャーバンドが上向きならロングポジション、下向きならショートポジションを取ります。

上下の動きを細かく取っていきたいのであれば、±1σでの反発に注目しエントリーし、2σ付近でイグジットする…などの方法でトレードするといいでしょう。

まとめ

ボラティリティは、FXだけではなく、多くの金融商品において重要なものです。

FXにおけるボラティリティは、通貨ごとの価格変動率を示していて、ボラティリティの値が大きければ大きいほど価格が大きく変動しやすいということになります。為替ではボラティリティをPipsによって見ることもあります。

ボラティリティは通貨によっても変わりますし、時間帯によっても変化します。ボラティリティが大きい通貨は相場が荒れやすいため、積極的に狙って短時間で大きな利益を出そうとするトレーダーもいますが、慣れないうちはボラティリティの大きい通貨の取引や時間帯の取引は避けた方が無難でしょう。

通貨ごとのボラティリティについてまとめているサイトなどもあるので、トレードを始める前にチェックし、どの通貨を取引するか考えると良いでしょう。ボラティリティを把握することが、上手くトレードをしていくためには必要なのです。

ボラティリティへの理解ももちろん大切ですが、FXの基礎知識についてもきちんと把握しておく必要があります。

以下の記事ではFX初心者が覚えておくべき用語なども紹介しているのでぜひ参考にしてください。

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