FX相場への要人発言の影響/大きな値動きを見せた事例

  • 更新日: 2019/07/17

FXには、相場が大きく動く局面があります。例えば経済指標はその一つで、中でも米国の雇用統計は、発表時に為替相場が激しく動くことで知られています。

同じように為替相場を動かすものとして知られているのが、要人発言です。為替相場に大きな影響を与える発言が国のトップを始めとした要人からあると、それに反応して為替相場は大きく動きます。
今回は、

  • 要人発言がどのようなものなのか分からない。
  • 為替相場を動かす要人にはどのような人が該当するのか知りたい。
  • 要人発言で、実際に為替相場が大きく動いた事例を知りたい。

という人に、FXにおける要人発言とは何かということや、要人がどのような人を指すのかといった基本を説明します。また、実際に為替相場を大きく動かした要人発言の事例についても紹介します。さらに、要人発言を狙ったトレードはどのように行えば良いのか、といったことについても解説します。

FXを取引する上で、要人発言の重要性について知っておく必要があります。FX初心者の人は、要人発言がどのようなものなのか知ることはもちろん、市場が要人発言の何に注目しているのか、ということにもアンテナを張れるようになりましょう。

経済指標と同じくらい大切な要人発言

FXは、平日は24時間動いていますが、その動きは一定ではなく、大きく動くタイミングがあります。為替相場が大きく動くのには様々な原因がありますが、大きな理由として知られているのが、経済指標と要人発言です。今回は、そのうちの要人発言について説明します。

要人発言とは

為替相場を大きく動かす要人発言ですが、重要な人物が、経済や為替に関する発言をすれば必ず相場が動くのかというと、そういうわけではありません。

要人発言の「要人」とは、基本的には、大統領や首相といった国のトップが該当します。また、国の経済政策・財政政策を担当する大臣、そして、各国の中央銀行総裁の発言が、為替相場では特に注目されています。

例えば日本であれば、首相はもちろん、財務大臣、日銀総裁の発言が特に注目され、市場への影響力が高いと言われます。この他にも、経済産業大臣の発言も注目されることがあります。また、日銀の副総裁の発言が為替相場に大きな影響を与えることもあるので、注意が必要です。

米国の場合は、大統領、財務長官、FRB議長、FRB理事、連銀総裁の発言が特に注目されます。

EUの場合は、ECB総裁や理事の発言が為替相場を大きく動かします。この他にも、EU経済をけん引しているドイツやフランスの首相の発言が、為替相場に影響を与えることもあります。

英国については、首相とBOE総裁、財務大臣の発言が特に注目されます。また、オーストラリアは、RBA総裁や首相、財務大臣の発言が、そして、ニュージーランドもRBNZ総裁や首相、財務大臣の発言が注目されます。

以上が、発言が注目される主な要人です。とはいえ、この中でも特に為替相場に大きな影響を与えるのは、やはり米国の要人の発言です。大統領はじめ、財務大臣、FRB総裁、理事、連銀総裁などの発言は為替相場を始め、世界経済に大きな影響を与え、その影響が長く続くことも珍しくありません。

一方、オーストラリアやニュージーランドの中央銀行総裁や首相の発言は、豪ドルやNZドルに関係する通貨ペアには大きな影響を与えますが、為替相場全体に影響を与えるとまではいかないケースがほとんどです。

また、要人発言は、主要な通貨を発行する国々の首相や中央銀行関係者などの発言を指すことが多いのですが、普段はさほど為替相場に大きな影響を与えない国の要人発言が為替相場に影響を与えることもあるので注意が必要です。例えば、ギリシャに関しては、ギリシャ危機以前はそれほど注目されていませんでした。

しかし、ギリシャ危機が発生してから事態がいったん収束するまでの間は、首相や財務大臣の発言が大きな注目を集めました。このように、情勢次第では、普段注目されていない国の要人の発言が注目されることもあることを覚えておきましょう。

また、国のトップや中央銀行関係者、大臣などの発言以外にも、ウォーレン・バフェットなどの著名な投資家の発言が為替相場に大きな影響を与えることもあります。

要人発言が発生するタイミング

FXを取引する上で知りたいのが、要人発言が発生するタイミングです。例えば、経済指標については、いつ、どのタイミングで発表されるかが把握できます。しかし、要人発言については、どのタイミングで発生するか、分かるものと分からないものがあります。

多くのFX会社が、経済指標カレンダーをHP上に掲載していて、そこには経済指標発表のタイムスケジュールが掲載されている他、各国の大統領や首相、財務大臣や中央銀行総裁、理事などの、会議や講演会出席の予定も掲載されています。彼ら要人が、会議や講演会に出席した際にどのような発言をするのか、また、その時に市場で注目されている内容に言及するかどうかが大きなポイントとなります。

例えば、2018年4月7日(現地時間6日)に行われたパウエルFRB議長のシカゴでの講演では、2%のインフレ率と力強い労働事情を伴う持続的景気拡大を引き続き目指すとした一方で、トランプ米大統領の進める中国への追加関税に関し、「制裁関税が物価を押し上げる」と指摘しました。

この発言を受けて、利上げペースが加速することで、企業の収益が悪化するのではないかとの見方が広がり、米国の株価が急落しました。さらに、これを受けて安全資産である円が買われ、円高が進みました。なお、この時は、この日に発表された雇用統計の結果が悪かったことも、円高を後押しすることになりました。

また、別の事例を紹介します。2017年8月26日(現地時間25日)に、ジャクソンホールで、イエレンFRB議長(当時)とドラギECB総裁の講演が行われ、どのような発言があるかが注目されていました。

この時、イエレン氏に関しては、2017年12月の利上げ実施の可能性への言及や、バランスシートの縮小方針について、踏み込んだ発言があるのではないかとして、市場からの期待が集まっていました。また、ドラギ氏については、当時進んでいたユーロ高に関し、けん制する発言があるのではないかと考えられていました。

しかし、イエレン氏は利上げへの可能性に言及しなかったため、失望感からドル売りが進みました。また、ドラギ氏も、ユーロ高をけん制する内容の発言を特にしなかったため、ユーロ買いが進みました。

このように、前もって要人発言があることが分かっているものに関しては、市場がどのような発言があると考えているのか、そして、どのような発言を期待しているのか知ることが大切です。先ほど例に挙げた昨年8月のジャクソンホールでの講演は、イエレン氏が利上げの可能性に言及したり、金融政策に関して新たな発言したりするのではないかと考えられていました。

特に、利上げの可能性を示唆する発言が期待されていましたが、実際にはそのような発言がなかったことが、ドルの失望売りを誘っています。また、ドラギ氏に関しても、ユーロ高をけん制する発言が飛び出すのではないかとの市場の予想とは異なり、ユーロ高に関する発言はありませんでした。

これにより、発言を警戒してユーロ買いを手控えていた投資家の心理が和らぎ、ユーロ高がさらに進むこととなりました。このことから分かるとおり、要人発言については、発言の内容ももちろんのこと、市場が予想しているトピックスに関する発言の有無も重要である、ということを覚えておきましょう。

また、事前に予定が把握できない要人発言もあります。例えば、アメリカのトランプ米大統領のツイッター上での発言はその代表です。トランプ米大統領は歴代の米国大統領とは異なり、SNSを多用することで知られています。

ツイッター上での言葉は市場にとってサプライズになることもあれば、乱高下の原因になる場合もあります。しかも、ツイッター発言はリアルタイムなので、チャートの変動のように常にチェックしていなければ、いち早く気づくことが難しいでしょう。

というのも、米メディアは「反トランプ」の構えを見せているため、フェアな報道がされないとし、トランプ氏はツイッターを使用した、自身の意見や見解の発信に力を入れているからです。このトランプ氏のツイッターでの発言が、為替市場に大きな影響を及ぼすこともあります。

例えば、2018年4月には、シリアの化学兵器使用疑惑に関し、「ロシアよ準備しろ、ミサイルが来る」などといった挑発ともとれる内容の発言の他、「米国とロシアとの関係は、冷戦時代を含め、史上最悪である」という発言をツイッターに投稿したことで、米露関係の緊張と、シリア情勢の緊迫化を嫌気した投資家によるリスク回避の円買いが進み、円高基調になりました。

大きな値動きを見せた要人発言の例

先ほども紹介したとおり、要人発言が為替相場に大きな影響を与えることもあります。発言を受け、一気に通貨高や通貨安が進むこともあれば、じわじわと進むこともあります。ここでは、要人発言が為替市場に大きなインパクトを与え、為替相場が比較的短期間に通貨高・通貨安となった事例を紹介します。

要人発言の事例1

トランプ米政権の財務長官であるムニューシン氏が、2018年1月24日に「弱いドルは我々にとってよいことだ」と発言したことを受け、一気にドル売りが進み、1ドル108円台半ばと、それまでより1円程度円高が進みました。

ムニューシン氏以前の米財務長官は、強いドルを支持していました。このことが、「米国はドル安の口先介入をしない」といった投資家の信頼を集めていましたが、ムニューシン氏のこの発言は、それまでの米財務長官の方針とは反対であったため、市場に大きなインパクトを与え、一気に円高ドル安が進むことになりました。

翌日、トランプ米大統領が「ドルは強くなる」と発言したことで、ドル売りは一服しましたが、今後も同様の発言があったり、保護主義的な政策が行われたりするのではないかとの市場の懸念がくすぶりました。

なお、ムニューシン氏の発言に対し、ECBのドラギ総裁が「競争力のために為替レートを目標にしない」とした主要7カ国(G7)などの国際的な合意に反すると指摘し、名指しこそ避けたものの、同氏の発言を批判しました。

また、麻生財務相も、貿易などの国際競争力のために為替レートを目標にしないというのはG7やG20の合意であるとし、ムニューシン氏の発言をけん制しています。動向

翌25日にムニューシン氏は、「長期的には、ドル高は米国経済と世界の為替相場を反映する」と火消しともとれる発言をしましたが、ドル安は収束しませんでした。最終的に、トランプ米大統領が同日、米CNBCテレビのインタビューで「ドルはさらに強くなる。最終的には強いドルを望む」等の発言をしたことで、ドル売りはようやく収束し、1ドル109円70銭まで円安が進みました。

要人発言の事例2

英政府統計局(ONS)が発表した英国の2017年12月~2018年2月の賃金の伸びは、事前予想の2.6%を上回る2.8%で、約3年ぶりの高いペースとなりました。また、同期間の消費者物価インフレ率は平均2.9%で、年内に2%に向けて低下すると見込まれています。さらに、2017年12月~2018年2月の雇用者数は5万5000人増えて過去最高となり、失業率も4.2%に低下しました。

このように好調な英国の経済指標を受け、「2018年5月に利上されるのでは?」との見方が市場では広がり、利上げを期待した投資家たちによってポンドが買われました。

しかし、2018年4月19日にBOEのカーニー総裁がBBCのインタビューで、利上げのタイミングに注目し過ぎることに懸念を表明し、「年内に、他にも会合が予定されている」と発言しました。そのため、5月の利上げ観測が後退し、期待感から買われたポンドが一気に売られました。そのため、この日のポンドドルは始値から1%近く下落する場面もありました。

なお、この発言の少し前からポンドは下落基調にありましたが、5月の利上げの可能性が無くなったことに加え、米国の利上げ加速への期待感からのドル買いが後押しし、ポンド安は続いています。

要人発言にどう対応すべきか

為替相場には、大きく動くタイミングがあります。例えば、投機筋や実需筋による売買は、為替相場を大きく動かします。

しかし、経済指標や要人発言が為替相場に与える影響は、投機筋や実需筋による売買とは異なり、為替相場へ与えるインパクトが長く続くことが特徴です。そのため、経済指標や要人発言の内容をチェックし、その通貨の買い要因と売り要因のどちらになるのかを見極めた上で、売買することが大切です。

また、経済指標と同様、要人発言があるタイミングの取引は避けた方が賢明です。例えば、講演会や会議に関しては、開始・終了時間は分かっていますが、要人発言がどのタイミングであるのか、正確な時間までは分からないことがほとんどです。また、すでに紹介したとおり、市場が期待していたトピックスへの言及がない場合もあります。そのため、要人発言を狙って取引をするのは、初心者は避けた方が良いでしょう。

もし、敢えて要人発言があるタイミングで取引したいのであれば、どのような発言があったのかをきちんと知った上で取引する必要があります。先ほど挙げたBOEのカーニー総裁の発言に関して言えば、カーニー総裁が5月の利上げに対して否定的な見方を示したとのニュースが取引画面の速報などで流れたタイミングで、ポンドを売ります。

特に、このケースの場合、それまでの好調な指標の結果を受けて、発言以前から期待感で買われてきた経緯があります。このことを考慮すると、ポンド売りになることが予想できます。

また、ポンドドルと比べた場合、利上げペースの加速が期待されているドルに対し、直近の利上げの可能性がなくなったポンドの魅力は乏しく、ポンド売りがある程度長く続くのではないかということも予想できます。

そのため、カーニー総裁が5月利上げを否定する発言がニュースとして流れたら、ポンドとペアにする通貨とを比較し、どちらの通貨を買いたいか考えましょう。先ほど挙げたドルとの比較は分かりやすい事例です。ドルが現状、6月中旬のFOMCでの追加利上げの可能性がある一方で、ポンドは直近の利上げが無くなっています。

このことを考慮した場合、ドルとポンドのどちらに買いが集まりやすいかというと、ドルの方です。そのため、少なくとも6月中旬に行われる次回のFOMCまでは、基本的にはドル買いである、ということが言えます。

ただし、その間に、ドル高けん制発言が米国の要人からあったり、政変や戦争、経済危機などが起こったりした場合は、一気にドル売り基調になる可能性もあることに注意が必要です。

このように、要人発言を基にFXを取引する場合は、通貨同士の買い要素と売り要素をきちんと考慮した上で、ポジションを決める必要があります。

まとめ

FXでは、要人発言は経済指標と並んで、為替相場を大きく動かす要因となります。ただし、要人発言のすべてが相場に大きな影響を与えるわけではなく、特に注目されている要人の発言が大きな影響を与えることに留意しましょう。

また、その時の情勢によっては、普段はそれほど注目されていない国の要人の発言が相場を大きく動かすことになることも知っておく必要があります。

相場を大きく動かすことから、要人発言があった時にはすぐにでも取引したくなりますが、むやみやたらに取引すれば良いというわけではありません。発言の内容をきちんと精査した上で、どのようなポジションを取るのか、

そして、どうなったら利益確定や損切りをするのか決めた上で取引する必要があります。きちんとシナリオを立てて取引しなければならないのは、要人発言があった時でも同じです。市場がどのような発言を期待しているのか、そして、実際にどのような発言があったのかをきちんと把握し、自分なりのシナリオを立てて取引しましょう。

FX初心者の方は、以下の記事も参考にしてくださいね。

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