FXトレードに役立つスイスの経済指標の見方を徹底解説、スイスフランにはどれくらいの影響があるの?

  • 更新日: 2019/07/02

スイスフランには2015年に発生した、スイスフランショックのイメージが今も強く残っています。

実はスイスフランショックの後、数か月でUSD/CHFのレートは元に戻っています。

ユーロを遥かに上回る歴史を持ち、また金価格との連動傾向があり、有事に強いと言われるスイスフランについて解説します。

スイスの経済指標を読み解くのに必要なのは?

スイスの法定通貨はフランで、シンボルのCHFはConfoederatio Helvetica Francの略となっています。

スイス連邦のSwiss Confederationと、ラテン語の地域名HelvetiaからCHFというシンボルは由来しています。

日本でスイスフランと聞くとマイナー通貨のイメージがありますが、為替市場では多くの取引がなされている通貨です。

2016年の国際決済銀行の調べによると、インターバンクで取引されている各通貨ペアのシェア別ランキングは下記とされています。(出典:国際決済銀行)

1位 USD/EUR(23.1%)
2位 USD/JPY(17.8%)
3位 USD/GBP(9.3%)
4位 USD/AUD(5.2%)
5位 USD/CAD(4.3%)
6位 USD/CHF(3.6%)

1~6位までいずれもドルストレート通貨がランクインしています(なお、国際決済銀行の調査ではUSDが先頭に来る表記)。

ドルストレート通貨ペアの中でUSD/CHFは6位のランキングですが、それでも日本人トレーダーが取引する機会の多いEUR/JPY(1.6%)、JPY/AUD(0.6%)等と比べると、2倍以上の取引シェアを有しています。

USD/CHFは日本のFX会社では取り扱いのない会社もある通貨ペアです。

しかし世界的に見ればEUR/JPYよりも多く取引されている通貨ペア、という認識は少なくともFXトレードを行うなら持つ必要があります。

有事に買われる傾向にあるスイスフラン

スイスフランと言えば、戦争や経済危機の発生時=有事に買われる傾向のある通貨として知られる存在です。

スイスは永世中立国であり、世界的な地政学リスクから切り離されている部分があるため、その通貨フランは有事の際の資産の逃避先として利用される傾向にあります。

日本円も有事の際に買われる傾向にありますが、日本円と並びスイスフランも有事に強い通貨として知られています。

スイスの経済指標が影響を及ぼす通貨ペアはUSD/CHFとEUR/CHF

永世中立国のスイスは欧州連合(EU)にも加盟しておらず、また通貨は独自のスイスフランを利用しています。

スイスにおいても各国と同様、様々な経済指標の発表がなされており、スイスフランは経済指標及び経済状況等に応じてそのレートが上下しています。

そしてスイスフランの中では、USD/CHF及びEUR/CHFの2つの通貨ペアが取引の中心です。

スイスを取り囲むEU加盟国の多くで法定通貨とされている通貨ユーロは、様々な国の法定通貨となっているため、その値動きはそれぞれの国の経済事情をダイレクトに反映しません。

しかしスイスフランはドルや円のように、スイスという国の経済状況を基本として、レートが形成される通貨です。

特に注目度が高い経済指標は政策金利発表など中央銀行関連指標

スイスで特に注目される経済指標は、スイス国立銀行(SNB)の政策金利発表を始めとする、SNB関連指標となります。

スイスにおいてもアメリカ、日本などと同様、中央銀行であるSNBが金融政策を司っています。

よってSNBの金利決定を始めとする様々な金融政策が、スイスフランのレートに大きな影響を与えます。

SNBは2015年1月に、1ユーロ=1.20フランの上限目標を突如撤廃してスイスフランショックを引き起こし、世界的にその名を知られることになりました。

スイスフランショックの例にもあるように、スイスフランにおいてはSNB=中央銀行の影響力が他国と比べても強いため、中央銀行であるSNB関連の指標発表はスイスフランのトレードする際には確認する必要があります。

重要度順!スイスの主な経済指標一覧

スイスフランの値動きに影響を与える可能性のあるスイスの経済指標について、重要度の順番にピックアップしました。

重要度[大]SNB政策金利発表:四半期毎(3・6・9・12月)

    SNBはスイスフランショックを巻き起こした張本人として、為替市場で有名な存在。他国の中央銀行同様、政策金利のコントロールにより金融政策のかじ取りを行っている。スイスフランショックの例からも分かる通り、他国に比べると金融政策に対する影響力は非常に強い。よってSNBの決定する金融政策は他国以上に重視される。

重要度[中]消費者物価指数(CPI):毎月6日前後に発表

    他国同様に消費者がモノやサービスを購入する際の価格変動を表す指標。SBNが毎月発表している。

重要度[小]SVME購買部協会景気指数(PMI):毎月初旬に発表

    PMIは他国同様、製造業の景気動向を見るのに使われる指標。スイスではスイス購買部協会(Schweizerischer Verband fur Materialwirtschaft und Einkauf)が発表。スイスの製造業の役員に、新規受注、生産高、在庫などの景気動向アンケートを行い、数値化し公表されている。50を基準として50以上なら景況感は良好、50以下で悪化と判断される。

重要度[小]失業率:毎月10日頃に発表

    観光業に加え金融業や精密機械業など、世界的に競争力のある産業を抱えているスイスは、他のヨーロッパ諸国に比べ失業率は3%前後と非常に低い水準にある。毎月SBNが発表している。完全雇用状態に長くあるため、他国の失業率発表に比べて市場への影響力は限定的。

重要度[小]貿易収支:毎月20日頃に発表

    スイスは貿易黒字国として知られている。主な輸出品は医薬品が約4割を占める。対アメリカの貿易収支が話題となる国が日本を始めとして多いが、スイスは対EUとの貿易が大半となっている。

重要度[小]KOF先行指数:毎月下旬に発表

    スイスの経済動向とGDP成長率を表す経済指標。チューリッヒ工科大学にあるKOFスイス経済研究所が毎月下旬に発表。6~9か月先の経済動向を示している。

重要度[小]生産者物価指数(PPI):毎月中旬に発表

    生産者価格と輸入価格のインフレの動きを示す。一般的には輸入商品のコストが高い程、インフレ圧力が高まることになる。

スイス経済指標の見どころ、金価格の動向に注目

ユーロ加盟国に囲まれた小国スイスは、風光明媚な観光地を抱えた国として知られています。

精密時計等の工業製品製造国としても知られていますが、経済規模としてはドイツやフランス、イタリアに比べるべくもありません。

しかし永世中立を貫き独立を維持している歴史的背景もあり、スイスという国は欧州で一定の存在感を有しています。

金融市場においてもスイスは独特の存在感を有しており、有事のスイスフラン買いを始め、為替市場に一定の影響力を有しています。

そしてスイスは国民一人当たりの金準備量(保有量)が世界一、という知る人ぞ知る特徴を有しています。

かつて金融市場の中心に位置していた金(金本位制)ですが、現在の変動相場性の下では過去程の地位を有していません。

しかしながら資産価値としての金の価値は依然として高く、海外では今も富裕層が資産運用の一環として金を保有しています。

戦争などの地政学リスクが少なく、また国民一人当たりの金準備量が世界一のスイスでは、通貨スイスフランは金価格と連動する傾向にあります。

よってスイスフランの取引を行う際は、金価格の値動きを参考とする事で、優位性を高めることができます。

特に中長期の値動きでスイスフランと金価格は連動する傾向にあるため、中長期スパンでスイスフランの取引を行う際は、金価格の動向は非常に重要なポイントになります。

中央銀行=SBNの影響力の強さに注意が必要

スイスフランと言えば2015年1月15日に発生した、スイスフランショック抜きに語ることはできません。

当時スイスフランは、対ユーロ相場に1ユーロ=1.2フランの上限目標を設定しており、SBNは市場介入を行っていました。

しかしながらSBNは介入により膨れ上がったユーロに耐えられなくなり、突如上限目標を撤廃しました。

1ユーロ=1.2フランが上限、という絶対的な安心感をベースにスイスフランの取引を行っていた投資家が多く、結果としてSBNの上限目標の撤廃発表を契機にスイスフランは大暴落しました。

市場では突然の出来事にレートの配信もできず、投資家は事前設定していた損切注文の執行もできませんでした。

そして損切注文が執行された時には既にレートが一気に飛んでおり、大きな損失の計上を余儀なくされた投資家が多数発生しました。

また投資家のみならずFX会社でも、多額の損失計上を余儀なくされる会社も発生し、最終的には破たんにまで至ったFX会社もあります。

それまでの長い歴史の上に金融市場から信頼を得ていたSBNの突然の発表、そしてスイスフランショックの発生に、SBNの信頼は失墜することになりました。

しかしその後、数か月の時を経てUSD/CHFはスイスフランショックなどなかったかのように、それまでのレートで取引がなされるようになります。

その結果、スイスフランの通貨としての信頼性が再認識されるに至っています。

ただしスイスフランショックの例が示すように、スイスでは中央銀行であるSBNの影響力が、他の国と比べて非常に大きい状態です。

よってスイスフラン取引の際は、SBNの金融政策への理解及びSBN関連の経済指標の発表について、充分な注意を払う必要があります。

まとめ

スイスフランは日本ではあまり取引に馴染みのある通貨ではなく、日本のFX会社の中にはUSD/CHFの取引サービスを提供していない会社もあります。

ただし世界的に見れば、USD/CHFはEUR/JPYやAUD/JPYを遥かに上回る取引がなされている通貨ペアであり、殆どのクロス円通貨よりも流通量の多さから素直な値動きを見せる傾向にあります。

しかしながら2015年のスイスフランショックの印象が強く、多くの日本人FX投資家はスイスフランの取引を敬遠しています。

一方でスイスフランは金価格に連動する傾向があり、長期的に見ればトレードの優位性を得やすい通貨です。

また中央銀行のSBNの影響力が大きいため、逆に言えばSBN関連の指標を丁寧に追いかけることで、ファンダメンタル的な安心感を持ったトレードができる可能性も有しています。

スイスフランショックでマイナス印象のあるスイスフランですが、金価格との連動やSBNの影響力の強さを逆手に取ることで、他の通貨に比べトレードしやすい一面を有するユニークな通貨でもあります。

スイスフランはSBNの影響力の強さから、FXトレードを行う際に中央銀行の存在の重要性を再認識することができる通貨、と言えるのではないでしょうか?

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監修者紹介/FX専門家 五十嵐勝久

中央大学経済学部卒。アルゴ株式会社代表取締役。銀行や証券、FX会社に勤務し、営業、企画、マーケティング部に所属。40歳で会社を辞めて起業。現在はFXや証券会社などのプロモーション業務、システム開発を行う一方、システムトレーダーとしても活躍。

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