2019年3月8日|軟調な日経平均の動向を受け、ドル円相場は下降トレンド。今夜の雇用統計に要注意
- 更新日: 2019/05/08
2019年3月8日|本日午後からのFX相場予想
本日の東京時間は、米株安を嫌気し、日経平均株価が100円超の下げ幅となったことを受けて、ドル円も軟調。
昨日の東京時間は、小動きとなった。米株安の影響を受け、日経平均株価が軟調だったことからドル円は下落したが、実需筋によるドル買いや中国株の好調が下支えした。
また、東京時間中に発表された日本の1月景気先行指数が、予想を下振れたこともドル売りの原因となった。ただ、上海総合指数が前日の終値を上回る水準まで上昇したことが下支えし、円高は限定的なものに留まった。
ロンドン時間以降は、ECB理事会の動向が注視される展開に。理事会終了後に行われたドラギECB総裁の会見では、事前に報道されたリーク記事の内容どおり、今年の経済成長見通しや2021年までのインフレ見通しを引き下げ、TLTRO3を今年9月から2021年3月まで実施することを発表した。
注目されていた利上げ時期については、ガイダンスを修正し、これまで今年夏までとしていた現行の金利を、少なくとも今年の年末まで据え置くことに決めた。また、今年の後半からEU経済は回復するとの見通しを示した。
懸念されていたとおり、利上げ時期が後退したことから、ユーロ売りが一気に進み、対ドルでユーロは大きく売られた。そして、その影響がドル円にも及び、一時円安が進んだ。
ただ、米国市場がスタートすると、ドラギECB総裁の会見を受け、今後のEUの景気に対する不透明感や、今回のECBの下方修正は楽観的すぎるとの見方から、米株価が下落。
NYダウは200ドル安となり、S&P総合500種が約1カ月ぶりに200日移動線を下回って終了するなど、終始軟調に推移した。これにより、米長期金利は低下。ドル円も水準を下げている。
今回、ECBが、今後の経済成長やインフレ見通しの引き下げたことで、欧州経済が鈍化傾向にあることがより鮮明に示された形だ。
一方で、米国は比較的順調に景気回復が進んでいるが、今回のECBの景気見通し引き下げにより、今後、米国一国だけで、世界経済の成長をけん引していけるのか、という不安が投資家の間で広がっているようだ。
このように、ECBによる今後の景気見通しの引き下げが行われた一方、この日発表された米国の経済指標は好調さを示す内容となった。
米国の昨年の10月から12月期の四半期非農業部門労働生産性・改定値(前期比)や前週分新規失業保険申請件数、同失業保険継続受給者数は好調な結果となっている。ただ、ECBによる利上げ時期後退のインパクトが大きく、市場ではほとんど材料視されなかった模様。
ECBによる景気見通しの後退と利上げ時期の延期を受け、冒頭で書いたとおり、本日の日経平均株価は朝から軟調。
ニューヨーク時間の終盤に2.38%台まで低下した米長期金利は、現在2.64%台を回復し、いったん下げ止まっている。NYダウ先物は軟調ではあるが、現在は水準を上げている。
なお、本日は14時に日本の2月景気ウオッチャー調査が発表され、16時台にはドイツの1月製造業新規受注、フランスの1月貿易収支と経常収支の発表がある。
昨日、EUの景気見通しが引き下げられたばかりであることから、EU経済のけん引役となるドイツの経済指標の結果には注意したい。
また、本日は米雇用統計の発表があるが、製造業における就業者数の鈍化が懸念されている。
先日発表された2月のISM製造業景況指数は54.2と、2年3か月ぶりの低水準となり、雇用指数は、1月の55.5に対し2月は52.3となり、3ヶ月連続の低下となった。さらに、この数値は、約2年ぶりの低水準となっている。
2月のISM製造業景況指数の結果について、経済成長の鈍化を示すものだとする見方がある一方、例年にない寒冷な気候により、一部工場が数日間の稼働停止を余儀なくされた影響が出た一過性のものとする見方もある。
そのため、今回の雇用統計の結果には注意が必要である。結果が経済成長の鈍化を示すものなのか、あるいは異常気象による一過性のものなのか見極めたい。
もし、雇用者増が確認できれば、ドル円上昇の支援材料になるものと考えられる。反対に、雇用者減となった場合はリスク回避の動きが強まり、円高圧力はより強くなるだろう。
冒頭でも書いたとおり、本日のドル円は軟調。午前中、実需筋による円買い・ドル売りが入ったことで、ドル円は一時1ドル111円46銭台まで円高が進んだが、その後は1ドル111円50銭台まで回復。
ただ、上海総合指数やハンセン総合指数が再び下げ幅を拡大し、円が買われたことに加え、後場に入り、日経平均株価が下げ幅を400円超に拡大したことを受け、現在は1ドル111円20銭台まで円高が進んでいる。
テクニカルを見ると、ドル円の一時間足は一目均衡表の雲の下にある。ボリンジャーバンドを見ると、ドル円の一時間足が-3σを割り込んだことから、いったん反発することが考えられる。
この後、東京時間のドル円は、1ドル111円35銭前後が短期的な抵抗線になるとみられる。それを上抜けた場合は、1ドル111円45銭前後が短期的な抵抗線になるものとみられる。
一方、東京時間の支持線は、短期的には1ドル111円20銭前後になるとみられ、そこを割り込んだ場合は、1ドル111円00銭前後が支持線として意識されるとみられる(元ネット系証券会社社員 佐藤真奈美氏)。
2019年3月8日|本日のFXレンジ予想
ドル/円
- 強気予想:111.47円~112.03円弱気予想:111.29円~111.84円
ユーロ/円
- 強気予想:124.31円~127.17円弱気予想:123.59円~126.10円
ポンド/円
- 強気予想:145.52円~147.92円弱気予想:144.90円~147.03円
(元ネット系証券会社社員 佐藤真奈美氏のレンジ予想)
※過去の相場データから当期の予想変動幅を算出。
2019年3月8日|本日のFX経済指標カレンダー
3月8日(金)
14:00 |
(日) 2月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI 前回…45.6 今回予想…46.3 |
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14:00 |
(日) 2月 景気ウオッチャー調査-先行き判断DI 前回…49.4 今回予想…49.9 |
16:00 |
(独) 1月 製造業新規受注 [前月比] 前回…-1.6% 今回予想…0.5% |
16:00 |
(独) 1月 製造業新規受注 [前年同月比] 前回…-7.0% 今回予想…-3.1% |
16:45 |
(仏) 1月 貿易収支 前回…-46.53億ユーロ 今回予想…-49.71億ユーロ |
16:45 |
(仏) 1月 経常収支 前回…-11億ユーロ |
16:45 |
(仏) 1月 鉱工業生産指数 [前月比] 前回…0.8% 今回予想…0.1% |
22:15 |
(加) 2月 住宅着工件数 前回…20.79万件 今回予想…21.41万件 |
22:30 |
(加) 2月 新規雇用者数 前回…6.68万人 今回予想…1.12万人 |
22:30 |
(加) 2月 失業率 前回…5.8% 今回予想…5.7% |
22:30 |
(米) 2月 非農業部門雇用者数変化 [前月比] 前回…30.4万人 今回予想…18.5万人 |
22:30 |
(米) 2月 失業率 前回…4.0% 今回予想…3.9% |
22:30 |
(米) 2月 平均時給 [前月比] 前回…0.1% 今回予想…0.3% |
22:30 |
(米) 2月 平均時給 [前年同月比] 前回…3.2% 今回予想…3.3% |
22:30 |
(加) 10-12月期 四半期設備稼働率 前回…82.6% |
22:30 |
(米) 1月 住宅着工件数 [年率換算件数] 前回…107.8万件 今回予想…119.0万件 |
22:30 |
(米) 1月 住宅着工件数 [前月比] 前回…-11.2% 今回予想…10.4% |
22:30 |
(米) 1月 建設許可件数 [年率換算件数] 前回…132.6万件 今回予想…128.0万件 |
22:30 |
(米) 1月 建設許可件数 [前月比] 前回…0.3% 今回予想…-3.5% |
(元ネット系証券会社社員 佐藤真奈美氏)
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