FXのMACDの使い方/初心者が押えておくべきテクニカル指標
- 更新日: 2019/07/12
FXを取引する際、欠かせないのがテクニカル指標です。
多くのFXトレーダーが、移動平均線をはじめとしたテクニカル指標を使用し、FX取引に活用しています。テクニカル指標を使うことで、ローソク足だけでは読み取れない相場の勢いや、過熱感などを探ることができるため、チャートと一緒に使用することで、トレードの精度を上げることができるのです。
そんなテクニカル指標には、様々な種類があります。非常に多くの種類がありますが、今回は、MACDと呼ばれる指標について説明します。
MACDは「マックディー」と呼ばれ、ジェラルド・アペル氏によって開発されたテクニカル指標です。シンプルで見やすく、初心者にも使いやすいことから、多くのトレーダーに支持され使われています。数あるテクニカル指標の中でも、MACDはメジャーな指標です。
今回は、
- MACDがどんな指標なのか知りたい。
- MACDでどんなことをチェックすれば良いのか知りたい。
- MACDの使い方のコツを知りたい。
という人に、MACDの基本や使い方を紹介します。
「まずはFXの基礎について知りたい!」という方は、以下の記事を先に読んでくださいね。
この記事の目次
メジャーなテクニカル指標「MACD」
FXのみならず、株や商品先物をトレードする際に欠かせないのが、テクニカル指標です。テクニカル指標には、移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI等、たくさんの種類がありますが、今回はその中からMACDを紹介します。
MACDは正式名称をMoving Average Convergence/Divergence Trading Methodといいます。日本語では移動平均線収束拡散法ともいいますが、MACDの呼び名で浸透しています。表示のシンプルさから使い勝手が良く、多くのトレーダーに使われているメジャーなテクニカル指標です。
トレンド系でもありオシレーター系でもあるMACD
テクニカル指標を大別すると、トレンド系、オシレーター系の2つに分けられます。トレンド系は、トレンド発生の有無やトレンドの方向性、トレンドの強弱を測るための指標で、オシレーター系は、買われすぎ・売られすぎを測る指標です。どちらもFXをはじめとした投資商品を取引する際によく使われています。
トレンド系、オシレーター系には、それぞれ長所・短所があり、得意な部分が異なります。例えば、トレンド系は中長期の予想に使われることが多く、トレンドが強く出ている相場の分析に向いています。一方、オシレーター系は短期の予想に使われることが多く、トレンドのあまり出ない相場の分析に向いていると言われています。
テクニカル指標は大抵、トレンド系とオシレーター系のどちらかに分類されますが、MACDは、トレンド系、オシレーター系の両方に分類されるテクニカル指標です。そのため、MACDは、トレンド発生時はトレンド系として、レンジ相場の時はオシレーター系として使うことができるテクニカル指標なのです。
MACDは移動平均線の改良版
数多くあるテクニカル指標の中で、最もメジャーなものといえば、やはり移動平均線です。FXや株などのローソク足チャートを見る際、移動平均線も一緒に表示するトレーダーがほとんどではないかと思います。移動平均線は広く浸透しており、トレーダーにとって不可欠なテクニカル指標であると言えるかもしれません。
しかし、移動平均にももちろん欠点があり、これだけで取引が完璧にできるというわけではありません。移動平均線には、トレンド発生のサインが遅いという欠点があるのです。そのため、それを改良すべく、現在価格に比重をおいたEMA(指数平滑移動平均線)が作られました。
MACDは、このEMAを2つ使っているのが特徴です。MACDには、短期のEMAと長期のEMAの差を表すMACD線と、MACDの移動平均であるシグナルと呼ばれる2つの線が表示され、この2つの線の関係性を見て、相場を分析します。MACD線は、通常、短期を12日、長期を26日として分析するケースが多いようです。
MACDはどのように算出されるのか
FXをはじめとした投資でよく使われているMACDがどのように算出されるのか、ここで見てみましょう。
MACDを求める式は、
MACD(マックディ線)=12日EMA-26日EMA
という式で表されます。また、EMAを求める式は、
(昨日のEMA×(n-1)+本日の終値×2)÷(n+1)
となります。
先ほども少し説明しましたが、EMAとは指数平滑移動平均線のことです。チャート分析でよく使われている移動平均線は、単純移動平均線のことを指すことが多く、SMAとも呼ばれています。SMAは、指定した日数の終値の平均値で算出されるのですが、相場の急騰や急落が突然起こると、その反映が遅くなってしまうという欠点がありました。
そんなSMAの反応の遅さをカバーしたものがEMAです。例えば、今日、急騰や急落が起きるとします。SMAの場合、どうしてもその反応が遅くなってしまうのですが、EMAは最新情報に比重を置いており、今日の値を2倍して算出しているため、SMAよりも反応が早くなります。
とはいえ、EMAにも問題がないわけではありません。MACDは最新情報に重点を置いているため、ダマシも多くなるという欠点があるのです。このことが、MACDでダマシが多くなる原因になっています。
MACDの使い方
MACDは初心者・ベテラン問わず使われているテクニカル指標です。見方もシンプルなため、初めてFXにチャレンジする初心者にとっては使いやすいテクニカル指標であると言えます。ここでは、そんなMACDの使い方を説明します。
MACDのチェックポイント
MACDは使いやすい指標ですが、チェックすべきポイントがいくつかあります。それは、MACDとシグナルと呼ばれる2本のラインがどのような状態なのか」ということです。基本は、MACDとシグナルとの位置関係を確認します。
MACDの状態から売買シグナルを確認する方法として、ゴールデンクロスとデッドクロスと呼ばれるものがあります。MACDがシグナルを下から上に抜けた場合を「ゴールデンクロス」といい、買いサインとなります。また、MACDがシグナルを上から下に抜けた場合「デッドクロス」といい、売りサインとなります。なお、ゴールデンクロスは0ラインより下、デッドクロスは0ラインより上で起こったかどうかを確認するのが一般的です。
これが、ゴールデンクロス・デッドクロスの基本なのですが、MACDはダイバージェンスと呼ばれる逆行現象が起こりやすい指標のため、上記どおりのゴールデンクロス・デッドクロスが起こらないケースもよくあります。そのため、0ラインより上のゴールデンクロスが有効になったり、0ラインより下のデッドクロスが有効になるケースも多々あることに留意しましょう。
なお、0ラインからMACDとシグナルがどれくらい離れているかも重要なチェックポイントです。0ラインから離れるほど相場が行き過ぎていることを意味しています。そのため、いずれは本来の価格に収束することを示唆しており、下降相場の時は上昇へ、上昇相場の時は下降へとトレンド転換する可能性があります。
また、MACDには、MACDとシグナルの他に、MACDヒストグラムと呼ばれる棒が表示されるものもあります。MACDヒストグラムは、MACDからシグナルを引いた値を棒グラフにしたもので、MACD2という名で呼ぶこともあります。MACDヒストグラムが減少から増加した時が買い、増加から減少した時が売りのシグナルという見方をします。
MACDを使い、新規買いあるいは新規売り注文を出した後、そのまま読み通りの方向へ価格が動いていった場合、どこで利益確定するかが問題となります。利益確定ポイントが大幅にずれてしまうと、利益が小さくなったり、反対に損失が出てしまうケースもあるからです。そうならないために、決済ポイントもMACDでチェックする必要があります。
MACDの決済ポイントについても、新規注文のタイミングを計る時同様、MACDとシグナルとの関係を見て判断します。MACDとシグナルとの乖離が最大になった後、縮小が確認できたら利益確定します。ここで重要なのは、「頭と尻尾はくれてやる」ということです。天井と底を捉えようとしても、それはなかなかできることではありません。「MACDとシグナルの乖離の最大値」とは言っても、乖離が最大になったその瞬間に分かるものではなく、分かるのは、後になってからです。
そのため、現在進行形で価格が動いている時に、「ここが底だ」「ここが天井だ」と判断できるわけではありません。MACDとシグナルの乖離の縮小が確認できたら、そこで利益確定するようにします。天井と底を捉えるのではなく、多少利幅が縮小したとしてもそれで良しとし、利益確定させることを優先させましょう。
ダイバージェンスを捉えるMACD
MACDはダイバージェンスを捉える指標であると書きましたが、「ダイバージェンス」とは、逆行現象のことです。
上昇トレンド時、ローソク足チャートでは高値更新しているにも関わらず、MACDでは高値更新していないことがあります。あるいは、下降トレンド時、ローソク足チャートで安値更新しているにも関わらずMACDでは安値を更新していないことがあります。このような状態をダイバージェンスと呼ぶのです。ダイバージェンスは、トレンド転換が近いことを示すサインであるとされています。
例えば、ローソク足が切りあがっており、デッドクロスが2度確認できたとします。その際、最初のデッドクロスより2度目のデッドクロスの方が低い位置で起こっていれば、天井圏にあることを意味し、下降トレンドへの転換である可能性を表しています。
また、ローソク足が切り下がっており、ゴールデンクロスが2度確認できたとします。その際、最初のゴールデンクロスより2度目のゴールデンクロスの方が高い位置で起こっていれば、底にあることを意味し、上昇トレンドへの転換である可能性を表しています。
なお、ヒストグラムを使ってダイバージェンスを判断する方法もあります。ヒストグラムの状態とチャートとの関係を確認するのですが、チャートの方が上昇しているにも関わらず、ヒストグラムが縮小していたり、チャートの方が下落しているにも関わらず、ヒストグラムが拡大していると、ダイバージェンスが発生していると判断します。ただし、この方法は、強いトレンドが出ている時にはダマシとなるケースもあるので、注意が必要です。
MACDを使うためのコツ
MACDは初心者にとって使いやすいテクニカル指標ですが、使い方にはコツがあります。ここでは、FXや株などの相場分析で、MACDを使う際に押さえておきたいコツを紹介します。
MACDは単独ではあまり使わない
MACDは使いやすく、人気のある指標ですが、単独で使うことはあまりありません。これはMACDに限った話ではなく、他のテクニカル指標でも同様です。そのテクニカル指標を単独で使うことは少なく、大抵、他の指標と組みあわせて使います。そのため、「RSIだけしか使わない」「ボリンジャーバンドしか使わない」というトレーダーは少数です。
なお、MACDに関しては、MACDだけを使うトレーダーもいますが、その場合はMACDを複数使って相場判断をします。
MACDはダマシが多い
最初の方で書いたとおり、MACDはEMAをベースにしているため、できる限り最新の情報を反映するように作られていますが、その分どうしてもダマシが多くなってしまいます。そのため、MACDのみを使ってトレードすると、トレードできる場面が極端に少なくなったり、ダマシに遭って、トレードするべきでないポイントでトレードしてしまうこともあります。
とはいえ、これはMACDに限った話ではなく、他の指標でも同じです。どの指標も一長一短あるため、1つのテクニカル指標のみを単独で使うトレーダーは少ないのです。
テクニカル指標の組み合わせのコツ
トレンド系指標とオシレーター系指標は、強みと弱みが異なるため、トレンド系、オシレーター系をそれぞれ組み合わせて使うのが一般的です。トレンド系から1つ、オシレーター系から1つを決め、この2つを使って相場分析する…といったように、2つの系統の指標をいくつか組み合わせて使います。
指標の持つ短所をカバーしようとすると、つい、沢山の指標を使おうとしてしまいます。しかし、沢山のテクニカル指標を使っても、使いこなせなかったり、かえって判断に迷ってしまうことの方が多いため、使う指標はあまり数を増やさない方が良いでしょう。また、使いやすさも人それぞれなので、自分にとって使いやすいテクニカル指標を選んで使うようにしましょう。
MACDと相性の良いテクニカル指標
先ほど書いたように、自分にとって使いやすいテクニカル指標を使うのがもちろん良いのですが、MACDとその指標との相性がイマイチでは、相場分析に支障をきたしてしまう可能性があります。そのため、MACDと相性の良いテクニカル指標とを組み合わせて使うのも重要なポイントです。
MACDと相性が良いと言われている指標は、RSIが挙げられます。RSIはオシレーター系の指標で、買われすぎ・売られすぎを判断するのが得意な指標です。そのかわり、トレンドが出ている時にうまく機能しないという欠点があります。MACDはトレンドを見るのに向いているため、MACDとRSIは良い組み合わせであると言えます。
また、MACDとストキャスティクスも相性の良い組み合わせです。ストキャスティクスは、MACDより更に早くサインが出るオシレーター系指標です。過剰なくらいの反応を示すため、ストキャスティクス単独ではダマシが多くなってしまいます。そのため、MACDと併用し、ストキャスティクスでシグナルが出た時に、MACDがどういう状態になっているのか確認して、新規と決済のポイントを判断するのです。
このように、MACDと相性が良いと言われている指標はいくつかあります。しかし、相場によって、相性の良い組み合わせが変わることもあるため、ここで紹介したRSIとの組み合わせやストキャスティクスとの組み合わせが、ずっと有効というわけではありません。もしトレードのパフォーマンスが落ちてきたら、MACDと他の指標との組み合わせで試してみて、その中からパフォーマンスが高いものを選んで使うようにしましょう。
なお、ここではMACDを使う前提で説明していますが、MACDを使うことが、その時の相場にとって最適な方法とは限りません。MACD以外の指標同士の組み合わせの方が、より良いパフォーマンスを上げられることもありますので、相場の状況に応じて使う指標の組み合わせを変えるようにしましょう。
ちなみに、MACDと別のテクニカル指標を組み合わせるのではなく、MACDを2つ組み合わせて使うトレーダーもいます。その場合、MACDの開発者であるアペル氏は、
- 短期取引の場合の組み合わせ…6日EMAと19日
- EMA中期の場合の組み合わせ…12日EMAと26日
- EMA長期の場合の組み合わせ…19日EMAと39日EMA
を推奨しています。
まとめ
MACDは初心者にとって使いやすいテクニカル指標で、FXでも多くのトレーダーが使っています。これからテクニカル指標を使ってみようという人にはおすすめの指標の一つです。
今回説明したとおり、MACDには長所・短所ありますので、MACDだけを使うのではなく、他の指標と組みあわせて使うようにしましょう。「できればMACDのみ使いたい」という場合は、上で説明したとおり、MACDを2つ使ってみると良いでしょう。
また、すでに書いたように、天井と底を取ろうとするのは控えましょう。指標は天井と底を教えてはくれますが、それがそうだったと分かるのは、少し時間が経過してからのことです。そのため、大きな利益を狙うのではなく、確実に利益を積み上げられるようにすることが大切です。
今回はMACDを紹介しましたが、MACDを使うことがベストというわけではありません。自分とそのテクニカル指標との相性ももちろんありますし、相場の状況によって最適な指標も変わってくるので、自分にとって使いやすい指標を、テクニカル系とオシレーター系からそれぞれいくつか選んで使ってみて、その中から最適な組み合わせを選んで使うようにしましょう。
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- 監修者紹介/FX専門家 五十嵐勝久
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中央大学経済学部卒。アルゴ株式会社代表取締役。銀行や証券、FX会社に勤務し、営業、企画、マーケティング部に所属。40歳で会社を辞めて起業。現在はFXや証券会社などのプロモーション業務、システム開発を行う一方、システムトレーダーとしても活躍。
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