FXのゴールデンクロスの使い方/トレンドの狙い方と注意点
- 更新日: 2019/07/24
相場の世界でもっとも有名なサインとして、真っ先に挙げたくなるのがゴールデンクロスです。おそらく相場にそこまで興味のない人でも、聞いたことがあるという人もいるんじゃないでしょうか。もしFXに興味があれば、ぜひ押さえておきたいサインと言えるでしょう。
- まず最初に覚えたらいい取引サインって何ですか?
- ゴールデンクロスって聞いたことあるけど、実はよく知らないかも。
- そんな誰でも知ってるサインなんて、本当に効くのかなあ……。
ゴールデンクロスはFXにおける基本中の基本のサインです。これだけで勝てるわけではありませんが、使いどころによっては有効な武器になります。意外と奥の深いこのサインをよく理解して、自分のトレードに活かしていただけるとうれしいです。
「そもそもFXのチャートの見方がよく分からない・・・」という方は、先に以下の記事をご覧ください。
この記事の目次
ゴールデンクロスはトレンド発生のサイン
まず最初に、ゴールデンクロスとはどういうものなのか、基本的なところから解説していきます。
長短移動平均線のクロスがサイン
ゴールデンクロスというのは、短期と長期の2本の移動平均線で確認できるサインです。具体的には、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜いていくのがゴールデンクロスです。
上のチャートではこのゴールデンクロスが起こっていますが、その後、相場は大きく上昇しています。このようなイメージで、ゴールデンクロスが現れると、強い上昇トレンドが発生する可能性があるとされています。
ちなみに、ゴールデンクロスの逆パターンで、デッドクロスというものもあります。これは下降トレンドが発生するというサインで、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜くことを示しています。
ゴールデンクロスもデッドクロスも、要はトレンドが発生する可能性があるよということを教えてくれるサインです。それが上昇トレンドか下降トレンドかというだけなので、FXにおいてはそこまで意識する必要はありません。
上昇トレンドあるところにゴールデンクロスあり
ゴールデンクロスのサインで使われる移動平均線というテクニカルは、過去の一定期間のローソク足の終値の平均を取ったものです。この平均を取る期間が短いものを短期移動平均線、長いものを長期移動平均線というふうに、ここでは呼んでいます。
この2つを比べると、直近の相場の動きにより敏感に反応するのが短期移動平均線で、長期移動平均線のほうはゆっくりとした動きになります。そのため、強い動きが出た場合にまず大きく動くのが短期移動平均線ということになります。
これを踏まえて、例えばジリジリとした下降相場から上昇トレンドが発生した場合を考えてみましょう。下降相場においては実レートが一番下にあって、次に短期移動平均線、一番上が長期移動平均線という並びです。
そこで強い上昇で実レートがまずグッと一番上に行くと、それを追いかけて短期移動平均線が上がり、長期移動平均線を抜いていくはずです。これがゴールデンクロスということです。
つまり、移動平均線の性質上、下降トレンドが転換して上昇トレンドが発生する時には、必ずゴールデンクロスが発生するということです。トレンドが発生したら、絶対にどこかにサインが出ているということは頭に入れておきましょう。
なお、そのサインが出るタイミングですが、移動平均線のパラメータ(平均を取る期間)によって変わってきます。このパラメータを変えていけば、どの程度の動きでサインが出るかも調整ができるということですね。
相場おける超有名サイン
冒頭にも書きましたが、このゴールデンクロスは非常に有名な取引サインです。また、サインとしても非常に単純でわかりやすいので、エントリーの意思決定をするのにも使いやすいという側面があります。
そのため、ゴールデンクロスが出たところから買いが集中して、ドンと強い上昇が起こることもあります。とくにメジャーとされるパラメータの組み合わせについては、よく意識しておくことをおすすめします。
これは相場は多数決の原理によって動くということが背景にあります。つまり、買われる量が多ければ上がるし、売られる量が多ければ下がるということです。そのため、多くの人が知っているゴールデンクロスというサインも、相場では有効に機能しやすくなるわけです。
ゴールデンクロスを狙ったトレードがうまくいくと、トレンドが発生して大きな利益を狙うことができます。トレードの武器としてゴールデンクロスを使いこなせられれば、大きく損益にも貢献することが期待できるでしょう。
万能ではないゴールデンクロス
ゴールデンクロスがハマると利益を伸ばせますが、もちろん万能なサインというわけではありません。うまく使いこなすためには、その弱点を知ることも大事です。この章では、ゴールデンクロスの弱点にスポットを当てて見ていきましょう。
ゴールデンクロスにはダマシも多い
ゴールデンクロスはトレンドが発生する際に必ず出るということを、前章では解説しました。しかし、間違えてはいけないのは、ゴールデンクロスが出たからといって、必ず上昇トレンドが発生するとは限らないということです。
つまり、ゴールデンクロスが発生した後に上昇トレンドが発生せず、再びズルズルと下降してしまうということもあるわけです。
このチャートでもゴールデンクロスが発生していますが、上昇は継続せずに、結局そのまま再び下降していく流れになっています。いわゆるダマシというかたちですが、ゴールデンクロスではダマシもよく発生します。
そのため、ゴールデンクロスが発生したからといって、機械的にトレードをすればいいというわけではありません。ダマシを回避するためにいかにフィルタリングをかけていくか、というところがむしろ重要になってくるわけです。
そもそもレンジ相場では役に立たない
ゴールデンクロスが苦手とするものとして、レンジ相場というものがあります。上のチャートは、レンジ相場におけるゴールデンクロスの発生具合を示したものです。見ての通り、頻繁に短期移動平均線と長期移動平均線がクロスしていますが、大きなトレンド発生は起きていません。
この状態でゴールデンクロスをサインとしてトレードをしようとすると、強い上昇を見込んでエントリーしてはレンジ上限で跳ね返されるというのを、何度も繰り返すことになってしまいます。
このように、ゴールデンクロスというのはレンジ相場の時には使い物になりません。つまり、ゴールデンクロスをうまく使うためには、レンジ相場は避けないといけないというわけです。
ちなみに、レンジ相場にある時は、上のチャートもそうですが、移動平均線に方向感がなく、ローソク足とゴチャゴチャと絡み合っているような形状になっています。こういった状況にある場合には、ゴールデンクロスのみでのトレード判断は避けるほうが賢明でしょう。
サインが出るのが遅い
このチャートでは上昇トレンドが起こっていて、ゴールデンクロスもその中で出ています。しかし、ゴールデンクロスが出たところで上昇が終わってしまい、そこから下降する展開です。見事にゴールデンクロスが天井となってしまっています。
このように、トレンドが発生している状態でも、ゴールデンクロスが出てからトレードしてもうまくいくとは限りません。これは、ゴールデンクロスのサインが出るのは、トレンド発生の初動からけっこう遅れたタイミングになってしまうという性質があるからです。
もし発生したトレンドが強い勢いだったり、長く継続したりすれば、ゴールデンクロスは有効です。一方で、発生したトレンドが弱く、すぐに終わってしまう場合には、ゴールデンクロスは失敗してしまうことになります。
こういった特徴があるので、ゴールデンクロスはできるだけ、大きく伸びる可能性の高いトレンドを捉えたいところです。そのためには、相場の全体の方向性を把握したうえで、それに沿った方向のトレンド発生を狙うべきです。例えば、ゴールデンクロスを狙うのであれば、大きな流れとして相場が上向きの時を狙うということですね。
ゴールデンクロスは最後にエントリーするサインとして有効ですが、その前提として、相場の大きな方向性を把握しておくことが大事になるということはぜひ覚えておくとよいでしょう。
ゴールデンクロスのタイミングは調整できる
ここまで、ゴールデンクロスの基本的な形を見てきました。この章では応用ということで、いろいろなゴールデンクロスのバリエーションを紹介していこうと思います。
移動平均線のパラメータを変える
このチャートは、緩やかな下降トレンドから上昇トレンドへ移っていくところです。この中に、5本移動平均線、25本移動平均線、75本移動平均線、200本移動平均線を表示しています。
上昇トレンドが発生する局面なので、それぞれの移動平均線の間でゴールデンクロスが発生しています。移動平均線の期間によって、ゴールデンクロスの発生タイミングがどう変わるのかに注目してみてください。
まず一番早いのが5本移動平均線と25本移動平均線のゴールデンクロス、次が25本移動平均線と75本移動平均線、一番遅いのが75本移動平均線と200本移動平均線というかたちになっています。
見ての通り、期間が短い移動平均線同士のゴールデンクロスのほうが早く発生することがわかると思います。実レートの変動に敏感なものが早くサインが出たという、当然と言えば当然の結果になっているわけです。
ゴールデンクロスはサインが出るのが遅いということを説明しましたが、期間の短い移動平均線を使うことである程度はその弱点を軽減できるということが言えるわけです。
一方で、5本移動平均線と25本移動平均線では、その後の上昇トレンドの中のちょっとした調整局面で、デッドクロスも簡単に起こっています。つまり、期間の短い移動平均線はサインのタイミングも早くなりますが、ダマシも起こりやすいということがわかります。
いろいろな移動平均線を使う
実は移動平均線にはさまざまな種類があります。ここまで「移動平均線」と書いてきましたが、それはすべて単純平均移動平均線(SMA)のことでした。これ以外にも、指数移動平均線(EMA)、平滑移動平均線(SMMA)、線形加重移動平均線(LWMA)といったものがあります。
これら4種類の移動平均線の25本線、75本線をそれぞれ、上のチャートには表示しています。オレンジ系が単純移動平均線、青系が指数移動平均線、緑系が平滑移動平均線、紫系が線形加重移動平均線となっています。
こちらも注目してほしいのは、ゴールデンクロスが出るタイミングの違いです。それぞれの移動平均線では計算式の違いによって、実レートの動きに対する反応の仕方が微妙に変わるため、その結果としてゴールデンクロスのタイミングも違ってきます。
単純移動平均線と比較して、指数移動平均線と線形加重移動平均線はゴールデンクロスの反応が早く、トレンドをより早いタイミングでとらえることができるようになっています。一方で、平滑移動平均線は逆にゴールデンクロスが出るのが遅いですが、移動平均線が滑らかな推移をするため、ダマシが発生しにくくなっています。
こういったかたちで、移動平均線の期間を変える以外にも、別の種類の移動平均線を使うことによって、ゴールデンクロスの出方を調整することができるわけです。
MACDを使う
3つ目に紹介するのは、移動平均線のゴールデンクロスをいち早くとらえるために開発されたMACDというテクニカルのゴールデンクロスです。
MACDはサブチャートの緑色のラインですが、これは12本移動平均線と26本移動平均線の差分の推移を示したものです。つまり、この差分がゼロになるタイミングがゴールデンクロスになるというわけです。
赤色のラインはシグナルと呼ばれるラインですが、MACDの9本移動平均線になっています。MACDがゼロに達する前にシグナルを抜くことになりますが、このシグナルを抜くというのがMACDのゴールデンクロスというサインです。
MACDがゼロになる前にサインが出る仕組みになっているので、MACDのゴールデンクロスは移動平均線のゴールデンクロスよりも早く出るわけです。今回のチャートでは、赤い丸の部分ですね。
これを見てもわかるとおり、最初に紹介した5本移動平均線と25本移動平均線のゴールデンクロスよりも、MACDのゴールデンクロスのほうが早く出ています。よりトレンドを早くとらえるためにつくられたのが、このMACDというテクニカルなんです。
これが正解というものは存在しない
いろいろな形のゴールデンクロスを見てきましたが、それぞれによってサインが出るタイミングが微妙に違うことがわかったと思います。では、これらの中でいったいどれが正解なんでしょうか?
残念なんですが、実は正解というのはありません。その時々の相場によって、正解(機能するテクニカル)は変わってしまうからです。ある時は有効に機能していたとしても、それがずっと機能し続けるとは限らないからです。
ただ、自分が普段使うテクニカルを決めていれば、相場をブレずに見ることが可能です。相場の動きを同じ物差しで測ることで、決まったスタイルでのトレードを可能にしてくれます。そういう意味で、ゴールデンクロスはトレードにおける有効な武器になりえるものです。
そして、この武器を最大限に活かすために必要なのが、相場の大きな流れを把握すること、環境認識です。大きな相場の流れを把握したうえで、自分が取りたいトレンドを見極めて、ゴールデンクロスという物差しを使って捕まえる。そういうイメージを持って、トレードに臨んでいくといいんじゃないかなと思います。
まとめ
今回はゴールデンクロスという、相場の超有名サインについて解説してきました。ゴールデンクロスの特徴を知って、実戦で使うイメージができれば幸いです。それでは、最後に内容のおさらいをしていきましょう。
ゴールデンクロスというのは短期移動平均線が長期移動平均線を上抜くことでしたが、これは上昇トレンド発生のサインということでした。なので、トレンド発生を狙ったトレードのサインとして、よく使われます。
しかし、ゴールデンクロスにはダマシも多いので、それを避けるために弱点もよく知っておく必要があります。例えば、以下のようなものですね。
- レンジ相場が苦手
- サインが出るタイミングが遅い
こういった弱点を克服するためには、大きなトレンドを狙っていくことが重要です。そして、大きなトレンドを狙うためには、相場の大きな流れを把握して、その流れに沿ったトレンドを捉える必要があります。
そういった相場の環境認識をしっかりと行うことで、ゴールデンクロスの使いどころを見極め、有効に活用することができるようになります。これをしっかり実践して、ぜひゴールデンクロスで大きなトレンドを狙っていただければと思います。
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- 監修者紹介/FX専門家 五十嵐勝久
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中央大学経済学部卒。アルゴ株式会社代表取締役。銀行や証券、FX会社に勤務し、営業、企画、マーケティング部に所属。40歳で会社を辞めて起業。現在はFXや証券会社などのプロモーション業務、システム開発を行う一方、システムトレーダーとしても活躍。
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