【FX】ドイツの主要な経済指標まとめ、特に注目するべき指標は?

  • 更新日: 2019/07/02

ユーロ圏最大の経済大国はドイツです。しかしながらユーロ圏内でのGDPシェアは、ドイツでも約30%に留まります。

各国の経済力と為替の強さがそれほど比例しないユーロは、通貨としては非常に特殊な存在です。

ドイツを通じて通貨ユーロを見る際の注意点などを、指標の紹介とともに解説します。

ドイツの経済指標を読み解くのに必要なのは?

欧州連合(EU)加盟国のドイツの法定通貨はユーロ(EUR)です。

第一次世界大戦後、第二次世界大戦後の経済混乱の経験から、インフレ抑制及び財政赤字削減政策を進めてきた旧西ドイツは、1990年に共産圏の旧東ドイツと統合を果たします。

その後1999年に長く使用した通貨マルクを廃止して、欧州統一通貨を目指したユーロ(EUR)の導入に踏み切ります。

1999年に通貨ユーロが発足すると、ドイツはユーロ圏で最大の経済力を持つ国として着実に地歩を築き現在に至っています。

そんなドイツですが、ドイツが発表する経済指標は時としてユーロ相場に大きな影響を与えることがあります。

また歴史的に見て大きな成果を上げてきたドイツの経済・金融政策ですが、その政策はEU内で多くの支持を得られている訳ではありません。

よってドイツが望む経済及び金融政策を、他のユーロ圏の国々がスンナリと受け入れている訳ではありません。

寧ろ南欧諸国は、積極的な財政・金融政策を望むケースが多く、ドイツ型の消極的な財政・金融政策を敬遠する国が多い状態です。

ユーロ圏における国別のGDP構成比を見ると、概ねドイツが約30%、フランス約20%、イタリア約15%、スペイン約10%という構成比です。

よって大きな枠組みからは、ドイツのユーロ圏における影響力は約30%と考えることができます。

アメリカドルやイギリスポンド、日本円の場合は、自国の経済指標発表がなされれば、早期に自国の通貨にその影響が生じます。

しかしながらユーロの場合はその特殊性ゆえ、最大の経済大国ドイツであってもユーロに対する影響力は約30%に留まります。

よってドイツの経済指標発表も、為替市場に対する影響力という観点では約30%に留まる、と考えることができます。

ドイツの経済指標が影響を及ぼす通貨ペアはユーロ

ドイツの法定通貨であり、ユーロ圏の12カ国がユーロを法定通貨としています。よってドイツの指標発表により直接的な影響を受ける通貨はユーロです。

ユーロ取引で主に利用される通貨ペアはEUR/USD、EUR/GBP、EUR/CHFの3通貨ペアです。

よってドイツの経済指標発表時は、特に上記3通貨ペアの値動きに注意する必要があります。

突出して注目度の高い経済指標はないがZEW景況感指数に注目

ユーロ圏の国々では、金融政策の決定権限を欧州中央銀行(ECB)が有しており、各国の中央銀行の金融市場に与える影響力は限定されています。

また上述の通り各国の経済状況もユーロ圏全体で見れば、影響力筆頭のドイツでも約30%に留まります。

他国では経済指標の発表は重要視されずとも、中央銀行関連の発表は重要視されるケースもありますが、ドイツを始めとするユーロ圏では、各国の経済指標発表及び金融政策はそれ程注目を浴びる事はありません。

特に金融政策の決定権をECBが有していることもあり、ドイツにおいて絶対的に抑えるべき経済指標は他国に比べるとあまりない状態です。

ただしZEW景況感指数を重視している投資家は多く、同数字に大きな変化があるとユーロが動くケースがあります。よってZEW景況感指数の発表日時だけは、事前に把握するべきと言えます。

重要度順!ドイツの主な経済指標一覧

ドイツの経済指標の中でも重要と考えられる経済指標について、下記に重要度の順にピックアップしました。

重要度[大]ZEW景況感指数:毎月中旬に発表

    民間調査会社のZEW(欧州経済研究センター)が発表するドイツの景況感についての調査結果。今後6ヶ月の景気見通しについて、アナリストなど約350名を対象に行ったアンケート調査をもとに算出した指数。下記のIFO指数の1週間前に発表され、IFO指数に対し先行性があるとして市場から注目されている。

重要度[大]IFO景況感指数:毎月下旬に発表

    ドイツのIFO経済研究所が発表する、ドイツ景況感についての調査結果。約7000のドイツ企業を対象に、ドイツ経済の現況と今後6ヶ月の先行きのアンケンート調査を実施している。

重要度[中]小売売上高:毎月上旬に発表

    ドイツ連邦銀行が発表する、百貨店やスーパ等の小売・サービス業の小売売上を指数化したもの。個人消費を見る上での基本的な指標となる。

重要度[中]失業率、失業者数増減:毎月月初に発表

    ドイツでの失業者の定義は、15歳以上で週20時間以上の労働を望むものの仕事に就けない者とされている。東西ドイツ統一後、長らく高い失業率(2005年の11.0%がピーク)に悩まされていたが、現在は約4%に留まっており、良好な雇用環境を維持している。

重要度[中]四半期GDP(国内総生産):四半期毎に発表

    他国同様、国内で一定期間内に生み出された財とサービスの付加価値の総額がGDP。国の経済規模を見るための指標となっている。

重要度[中]製造業購買担当者景気指数(PMI):毎月、速報は月下旬、改定は上旬に発表

    ドイツの製造業の景況感を表す経済指標。製造業やサービス業の購買担当者を対象にアンケート調査を行い、指数化されている。50%を超えれば景気拡大となる一方、50%を下回ると景気後退を示す。

重要度[中]サービス部門購買担当者景気指数(PMI):毎月、速報は下旬、改定は上旬に発表

    ドイツの小売・サービスの販売価格の調査結果を表す経済指標。製造業やサービス業の購買担当者を対象にアンケート調査を行い、指数化されている。消費者が購入するモノやサービスの価格を示しており、生活コストを測る指標として利用されるケースが多い。50%を超えれば景気拡大となる一方、50%を下回ると景気後退を示す。

重要度[小]消費者物価指数(CPI):毎月、速報は下旬、改定は上旬に発表

    ドイツの小売・サービスの販売価格の調査結果を表す経済指標であり、ヘッセン、バイエルン、バーデン・ヴェンテンベルク、ノルトライン・ウェストファーレン、ザクソンの主要5州のデータが指数化され公表される。生産者物価指数との相関性があり、インフレ動向を見るための重要な指標として位置付けられている。

重要度[小]鉱工業生産(IIP):毎月上旬に発表

    ドイツの鉱工業部門の生産動向を表す、ドイツ連邦局により翌々月上旬に前月のデータが公表。工業や製造業の生産動向を見る判断材料として注目されている。他国同様の指標であるが、ドイツの場合は建設業も含まれるという特徴がある。

重要度[小]貿易収支:毎月上旬に発表

    ドイツの政府と民間の輸出額から輸入額を引いた差額を表す経済指標。継続的に貿易収支は黒字を維持しているものの、米トランプ政権の誕生により、対アメリカの貿易黒字額に注目が集まっている。

重要度[小]GFK消費者信頼感指数:毎月中旬に発表

    約2000人のドイツ人消費者を対象に行った、向こう1年の景気見通し、期待収入、消費性向に関するアンケートの集計結果。市場調査会社GFK(Growth from Knowledge)が発表している。

重要度[小]生産者物価指数(PPI):毎月下旬に発表

    ドイツ連邦統計庁が発表。製造業部門の売買価格や変化を数値化したもの。景況感やインフレ率、消費動向を予測する材料となる。

ドイツ経済指標の見どころ

上述の通りドイツの経済指標そのものが、直接的にユーロの値動きに影響を与えるケースは少ないと言えます。

しかしながら、ユーロ圏最大の経済規模を誇るドイツの政治及び経済状況の把握抜きにユーロを語ることはできません。

個別の経済指標そのものの数字というより、ドイツ経済の状況を大枠で捉えることが、ユーロの大きな方向性を掴むことに役立ちます。

参考までに下記にユーロ圏及び世界の主要国のGDP額を取り上げました(10億USドル:尚、2018年4月IMF - World Economic Outlook Databasesのデータを利用)

・1位 アメリカ  19,390
・2位 中国  12,014
・3位 日本  4,872
・4位 ドイツ  3,684
・5位 イギリス  2,624
・6位 インド  2,611
・7位 フランス  2,583
・8位 ブラジル  2,054
・9位 イタリア  1,937

GDPから見てドイツは世界第4位の経済大国です。またEU諸国の中で1位という立場は、EUからの離脱を決定しているイギリスが去った後、更にその立場は抜きん出たものとなります。

ただしEU及びユーロ圏の政策決定は、加盟各国の合意形成が最重要視されています。よってドイツの経済力が抜きん出ていると言っても、ドイツが単独でEU及びユーロの政策決定を決めることは事実上不可能です。

難民問題がアキレス腱のドイツ

EU加盟国は現在、アフリカ及び中東地域からの難民問題に揺れています。人道的な立場からドイツは積極的に移民を受け入れるスタンスを取っていますが、イタリア・オーストラリアでは反移民を唱える政党が力を伸ばしています。

イギリスがEU離脱を決めた大きな理由の1つは、移民問題とも言われています。

ドイツは伝統的にトルコからの移民受け入れの歴史を有しており、移民に寛容な国として知られていました。しかしドイツにおいても、反移民を唱える政党が台頭しつつあります。

ドイツはメルケル首相が長期政権(2005年~)を担い、政治的な安定の下で経済発展を果たしたという一面を有しています。

しかしながら移民問題を契機として、メルケル首相を支える連立政権のバランスが崩れつつあり、またメルケル首相に対する国民の飽きも生じています。

各国の通貨は各国の政治情勢に大きな影響を受ける一面を有していますが、ユーロは特にその傾向が強い通貨です。

ギリシャ危機では経済的には立場の弱いギリシャの危機で、ユーロは大きな下落を見せる結果となりました。

難民問題やBrexitがありながらもEU及びユーロ加盟国は、結束して物事に対処し現在に至っています。

しかしながら難民問題を始め、ドイツの政治が混乱する等の事態が発生すれば、ユーロに対する影響は非常に大きなものがあると予想されます。

よってユーロ圏、特にドイツでは難民問題を始めとする政治問題は、各指標以上に注目する必要があります。

まとめ

EU加盟の19カ国が法定通貨としているユーロは、他の通貨と異なる性質を多く有しています。

ユーロ圏において、ドイツ経済の実力は抜きん出た存在であり、その経済的な影響力は無視することができません。ただしドイツとは言え、ユーロ圏内のGDPの約30%の国であり、その影響力は限定的です。

よってドイツで発表される各経済指標については、他国で発表される同様の経済指標に比べると、注目度は必然的に限定的とならざるを得ません。

しかしながら政治情勢に影響されるケースの多いユーロでは、ドイツの政治状況の影響を大きく受ける可能性があります。

既に難民問題の発生を背景に、ドイツのメルケル政権は以前に比べると政権の安定度が落ち始めている状態です。

ユーロの大きなトレンドを見る際は、ドイツの政治及び経済情勢についての把握も、重要な要素になるのではないでしょうか。

おすすめのFX会社

外為オンライン

Medium imagesender
初回入金額
5,000円
  • 初心者にオススメ
  • 小額から可能
  • デモトレード
  • 副業にオススメ
  • デイトレード向け
  • スワップ高め
  • 自動取引対応
  • 5,000円から始めれる少額取引可能な会社!
  • iサイクル2注文で自動で取引が可能!
  • 初心者でも安心!無料セミナーや情報が豊富

外為どっとコム

Medium 99cc610d3bc7486acc314e0178bfad56
初回入金額
無料
  • 初心者にオススメ
  • 小額から可能
  • デモトレード
  • 副業にオススメ
  • デイトレード向け
  • スワップ高め
  • 初心者向けコンテンツが充実!オンラインで受講可能なセミナーも開催
  • 1.000通貨から取引可能で始めやすい
  • 全通貨業界最狭水準のスプレッドと高いスワップ益

DMM FX

Medium 300 250
初回入金額
無料
  • 初心者にオススメ
  • 小額から可能
  • デモトレード
  • 副業にオススメ
  • デイトレード向け
  • スワップ高め
  • 自動取引対応
  • “口座数国内第1位”の選ばれている会社!
  • いつでも、どこでも、自由にスマホで取引可能
  • すべてのスプレッドが業界最狭水準!

監修者紹介/FX専門家 五十嵐勝久

中央大学経済学部卒。アルゴ株式会社代表取締役。銀行や証券、FX会社に勤務し、営業、企画、マーケティング部に所属。40歳で会社を辞めて起業。現在はFXや証券会社などのプロモーション業務、システム開発を行う一方、システムトレーダーとしても活躍。

> FX専門家 五十嵐勝久について
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お好みの条件で自分に合ったFX会社を検索

FXのことで悩んだら、専門家に相談!

FXに関するご相談を無料で受け付けております。
お問い合わせが多い場合は、返信が遅れることやお問い合わせ内容によっては返信が出来ない場合がございます。
※お問い合わせ頂いた内容はナビナビFX編集部に送信されます。

(必須)
(必須)

利用規約プライバシーポリシーにご同意いただき、ご利用下さい。