投資の世界で存在感を示すアルゴリズムトレードと、FXへの影響

  • 更新日: 2019/07/31

投資を始めるにあたり、「アルゴリズム」という言葉につまずいた経験はありませんか?この世界ではよく耳にする言葉ですが、本当の意味を捉え、トレードで実践できている人はなかなかいないと思います。

そこで、

  • アルゴリズムとは何なのか興味がある。
  • システムトレードとアルゴリズムトレードとの違いを知りたい。

という人に、今回はアルゴリズムトレードについて解説します。

コンピューター技術が進歩するのと同時に、トレードの内容も変わってきました。コンピューター技術を利用することで、それまでの裁量トレードではできなかったトレードができるようになったのです。

その一方、コンピューター技術を駆使したトレードが、市場で問題を引き起こすケースも出てきています。

今回は、アルゴリズムトレードがどのようなもので、投資の世界でどのように利用されているのか、ということや、為替相場での事例を紹介します。

また、個人投資家はアルゴリズムトレードに対してどのように対処すれば良いのか、ということについても考えてみたいと思います。

チャートの分析方法については、下記サイトにてご紹介していますので、ご参考ください。

アルゴリズムとトレード

「アルゴリズム」という言葉を聞いたことはありますか?プログラミングに触れたことのある人にとっては馴染みのある言葉ですが、投資の世界といったいどのような関係があるのでしょうか?

ここでは、アルゴリズムとトレードについての関係を説明します。

投資とアルゴリズムトレード

アルゴリズムとは、IT用語であり、プログラムをする人にとっては馴染み深い言葉です。アルゴリズムとは、プログラミングを作成する際の基礎となるもので、コンピューターで計算を行う際の計算方法のことを指します。

もっと分かりやすく言うならば、ある問題の解決を、より効率的に達成するための処理手順ということになります。例えば、合計10になる整数の足し算は複数通りあります。この足し算の手順を見つけ出すのが、アルゴリズムなのです。

プログラミングの世界でよく聞く「アルゴリズム」という言葉は、ここ数年、投資の世界でも聞かれるようになりました。

コンピューター技術やインターネット技術が進歩したことで、投資の世界では、従来型の裁量トレードに代わって、コンピューターシステムを使ったアルゴリズムトレードが出現しています。

投資の世界でコンピューターシステムを使ったものは、IT技術の発達した現代では、特段珍しいものではありません。

実際、個人投資家の中には、特定のトレードルールに基づき取引するプログラムを用いた「システムトレード」を使って取引を行う人もいます。

MACDやRSI等のテクニカル指標や、ダウ理論、複数の時間足の方向等から、エントリーや決済のタイミングを見つけ、それを淡々と実行するのです。

感情に左右されてしまう裁量トレードの欠点を補うために用いられるようになったシステムトレードは、FXの世界で広がりを見せ、独自のシステムトレードを提供するFX会社や、MT4(Meta Trader 4)を使ったシステムトレードを提供するFX会社も現れるようになりました。

アルゴリズムトレードとシステムトレードの違い

アルゴリズムトレードは、コンピューターシステムが、相場の動向を過去の相場の動向と照らし合わせて、自動的に売買数量や注文のタイミングを決め、新規・決済を行います。

ここまで聞くと、アルゴリズムトレードはシステムトレードに似ているように感じるのではないでしょうか。コンピューターが自動的に取引を行うという点で、アルゴリズムトレードはシステムトレードと共通しています。

アルゴリズムトレードは、システムトレードに比べ、より複雑な条件を組み込んで自動売買するものなのではないか、と思う人もいるのではないかと思います。

しかし、アルゴリズムトレードがシステムトレードと決定的に違うのは、高速取引を行うということです。アルゴリズムトレードでは、1秒間というごく僅かな時間に、1,000回以上もの売買を行うのです。

アルゴリズムトレードは、誕生当初から超短時間の高速発注を行っていたわけではありません。1980年代にモルガン・スタンレー社が開発した後、ヘッジファンドや機関投資家に利用されてきました。

そして、人間が行うには難しいペアトレード等で活用されてきたのです。機関投資家は個人投資家とは比較にならないほどボリュームの大きな注文をマーケットに流すため、市場に与える影響はどうしても大きくなります。

そして、当然のことながら、レートに与える影響も大きくなります。その影響を軽減するために、発注を小刻みにして流す方法として活用されるようになったのが高速取引なのです。

市場への影響が広がるアルゴリズムトレード

市場に与える影響を軽減するために導入されたアルゴリズムトレードですが、欧米はもちろん、日本にもその影響は波及しています。

例えば、2010年1月に東証がコロケーション・サービス(取引所の売買システムに近接した場所に参加者のサーバー設置を許容するサービスで、アルゴリズムを用いた高速取引を行う投資家が利用している)を開始したところ、全注文の約7割がアルゴリズムを用いた高速取引によるものとなっています。

東証の全取引に占めるコロケーションエリアからの取引の割合は、2016年1月時点で、取消、変更を含んだ注文件数ベースのもので75%を占め、約定件数ベースでは44%を占めるまでになっています。

出典:平成28年4月19日 金融庁総務企画局 事務局説明資料(市場・取引所を巡る諸問題に関する検討)

このようにアルゴリズムを用いた高速取引が増えるにつれ、市場に与える影響も大きくなっています。

実際、2016年4月22日に日銀が金融機関への貸し出しに対しマイナス金利を適用することを検討するというニュースが報じられたところ、1ドル109円前半だったドル円レートは急激に円安ドル高が進み、110円60銭まで急伸しました。

この時の急激な円安ドル高の背景には、アルゴリズムトレードの存在があると言われています。売りや買いのきっかけになるキーワードに反応するアルゴリズムが組まれた高速取引が、ドルの急伸を招いたと考えられているのです。

このような事例は珍しくなく、その時市場で注目されている材料をピックアップし、買い材料になるキーワード、売り材料になるキーワードがニュースで流れた途端、アルゴリズムトレードは高速で売買を始めます。

しかし、内容を精査して売買していないケースもあるため、ニュース内容を最後まで確認し、検討してみると、ニュースが流れた時の急速な相場の動きとは反対方向に本来相場は動かなくてはならないのではないか、という結論に至る時もあります。

このような場合は、急騰後に急落したり、急落後に急騰したりします。

規制が進むアルゴリズムトレード

このように相場に大きな影響を与えるアルゴリズムトレードは、市場に流動性を与えており、その分スプレッドも狭くなることで一般の投資家にも恩恵を与えるとするポジティブな意見もあります。

その一方で、相場の急変やボラティリティの上昇、システム面へトラブルを与える可能性、投資家間の公平性が崩れる可能性等、様々な問題を懸念するネガティブな意見もあります。

実際、アルゴリズムトレードによる相場の急騰・急落を利用し、相場操縦したとして摘発される事例がイギリスやアメリカ、日本でも発生しています。そのため、アルゴリズムトレードに対し、規制をかける動きが近年出てきているのです。

例えば、欧州では、取引高全体の半分強がアルゴリズム取引となっていることから、アルゴリズムトレードの規制が強化されました。

2018年1月3日のMiFID2施行からは、アルゴリズムトレードを行う者を登録制にし、誤発注を防止する体制となっているか、適切な取引の閾値や上限を設定しているかどうか等の基準を設け、適切な体制がとられているかチェックするようになりました。

それに加え、アルゴリズムトレードに従事する旨はもちろん、アルゴリズムトレードの戦略や、システムが採用する取引パラメータやリミットの詳細等の情報も当局に知らせなくてはならなくなりました。

さらに、市場の混乱を防ぐため、短期間に株や為替等の金融商品に顕著な価格変動があった時に、取引を一時停止できるサーキットブレーカーを備えることになりました。

この流れを受け、日本でも高速取引に対し、法制度をきちんと整備しようという動きが起き、2017年5月17日に「金融商品取引法の一部を改正する法律」が参議院本会議で可決されました。

その結果、金融商品取引業者や取引所取引許可業者以外で、高速取引を行う者は、総理大臣の登録を受けなくてはならなくなりました(金商法改正法に基づく金融商品取引法66条の50など)。

また、高速取引を行う者は、業務管理体制の整備や帳簿作成、保存義務などの規制を課せられるようになりました(金商法改正法に基づく金融商品取引法66条の55~59)。

この他にも様々な規制がかけられ、先にアルゴリズムトレードの規制強化を行った、EUに追随する内容となっています。この「金融商品取引法の一部を改正する法律」は平成30年4月1日より施行される予定です。

超高速取引にどう対応すれば良いか

先ほど書いたとおり、アルゴリズムトレードを規制する動きは、EUをはじめ日本でも出てきています。EUに関しては、今年1月から規制強化がスタートしていますが、日本の場合、実際に規制強化されるのが平成30年4月1日からとなっており、まだ時間があります。

また、規制強化の内容を見ても、欧州のようにサーキットブレーカーを備える、といった内容にはなっておらず、業者を登録制にするという内容にとどまっています。

そのため、平成30年4月1日以降に規制が強化されても、日本市場では、アルゴリズムトレードが抑制される可能性は少ないのではないかと考えられます。つまり、アルゴリズムトレードによる相場の急変は、今後も起こり得ると考えられるのです。

今後、FXトレーダーがアルゴリズムトレードによる相場の急変に対応するにはどうしたら良いのでしょうか。

例えばFXにおける個人投資家は機関投資家とは違い、テクニカル分析に基づきトレードするケースが多い傾向にあります。そんな個人投資家の損切り注文を狙ったアルゴリズム取引もあります。

MACDやストキャスティクス、ボリンジャーバンド等のテクニカル指標に基づきトレードしているトレーダーは、そのテクニカル指標がこのようになったら買い、売り、といった形でエントリーポイントを決めています。

裁量トレードでそれを行うトレーダーもいれば、MT4等のシステムトレードでそのような条件を設定し、自動売買を行っているトレーダーもいます。

そして、エントリーポイントと同時に、万が一相場が予想どおりに展開しなかった時の損切りの注文も入れておきます。その動きを狙い撃ちしたアルゴリズムトレードを行うヘッジファンドもあるのです。

この場合、テクニカル指標の買いサイン、売りサインが出るポイントで、反対方向の注文を仕掛け、意図的に損切りの注文を発動させます。

このようなヘッジファンドの動きを見越し、テクニカル指標が買いや売りのシグナルを発した時に、相場がどのように動くかを確認し、その動きに乗る方法もあります。

また、経済指標発表時や要人発言のある時も、アルゴリズムトレードが発動しやすいタイミングです。

すでに触れたとおり、経済指標や要人発言の内容を精査することなく、数字やキーワードに反応して売買を仕掛けるため、急激に一方向に動きやすいという特徴があります。その動きに乗り、トレードする方法もあります。

反対に、アルゴリズムトレードの起こす急激な動きに乗らない方法もあります。そのようなトレードの代表が、ファンダメンタル分析によるトレードです。

ファンダメンタル分析に基づきトレードする場合は、基本的に長期トレードになります。アルゴリズムトレードで一時的に相場が荒れることがあったとしても、いずれはファンダメンタルという大きな河の流れに相場は収束していくため、アルゴリズムトレードが起こす急激な動きにも反応はしません。

しかし、ロスカット注文が発動するのはまずいため、長期トレードができるように、資金コントロールが大切となります。取引数量を多くしてトレードすること自体は問題ありませんが、激しい値動きに耐えられるよう、この場合は大きな資金で取引する必要があります。

また、長期トレードであったとしても、急激な値動きが見越せる、経済指標や要人発言のあるタイミングには、「ポジションを持たない」という選択肢があっても問題ありません。

その場合、経済指標の発表前や要人発言があるイベント等の前にいったん手じまいし、相場が落ち着いてから再度ポジションを建てるようにすると良いでしょう。

すでに何度か触れたとおり、アルゴリズムトレードは、経済指標や要人発言の内容を精査せずに、瞬間的に反応します。

そのため、しっかり内容を把握・検討した後に、「この発言の内容を受けて、相場はドル買いが進む」「今回の経済指標の内容は一見良いものの、そのうち、企業収益の圧迫要因になる可能性が高いため、ポンド売りが進む」など、相場の大きな方向性を見据えた上で、ポジションを建てると良いでしょう。

FXにおける経済指標の影響については、下記サイトにてご紹介していますのでご参考ください。

まとめ

今回は、アルゴリズムトレードがどのようなもので、投資の世界でどのように利用されているのか、といったことや、為替相場での事例を紹介しました。

IT技術の発達とともに誕生したアルゴリズムトレードは、相場への影響を強めてきました。

為替相場では、要人発言や重要なニュースに相場が反応し、レートが急変することは珍しいことではありませんが、近年は、アルゴリズムトレードによる影響もそこに加わっています。

アルゴリズムトレードによる暴騰や暴落は、その原因となった発言やニュース、指標等を精査せずに引き起こされることも珍しくありません。

そのため、個人投資家がアルゴリズムトレードによる激しい値動きに対処するとしたら、発言やニュース等の内容をしっかり確認し、相場の大きな方向性を把握することがまずは重要です。

相場への影響の大きいアルゴリズムトレードを規制する動きが、国内外でも進んでいます。

しかし、日本に関しては、アルゴリズムトレードによって引き起こされる激しい値動きを規制できるような内容にはなっていないため、今後もアルゴリズムトレードによる相場の急変が考えられます。

その中で、自分のトレードをしっかり保ち、市場や相場にいちいち左右されることなく、安定した投資をしていくためにも、アルゴリズムトレードが一体どんなものなのか、自分のトレードスタイルにどのくらい影響があるのかを、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

そして、アルゴリズムトレードによる激しい値動きを利用するのか、あるいは、激しい値動きに影響されないようなトレード手法で取引していくのかについても、しっかり考えましょう。

また、FXに関する正しい知識を身に着けることもトレードするうえでは大切なので、以下の記事をじっくり読んでからトレードしてくださいね。

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