FX初心者も覚えておきたいユーロ圏の経済指標の見方!ユーロにはどれくらい影響が出る?

  • 更新日: 2019/07/02

欧州のEU加盟19カ国が法定通貨として利用している通貨ユーロ(EUR)は、他国の通貨とは異なる特徴を持っています。

ユーロは経済指標発表で、相場が大きく動く事が比較的少ない通貨と言えます。しかしユーロの金融政策を担うECB理事会、ECB総裁の会見は注目度の高いイベントです。

ユーロの経済指標について、ECB(欧州中央銀行)関連を中心に解説します。

ユーロ圏の経済指標を読み解くのに必要なのは?

2009年からのギリシャ危機発生の際は大いに揺れた通貨ユーロ(EUR)ですが、ECB(欧州中央銀行)の徹底した金融緩和政策などもあり、現在は落ち着きを取り戻しています。

ドイツの経済力が頭一つ抜け出ている状態のユーロ圏で利用されるユーロは、ドイツ経済に変調が生じれば、値動きに影響が生じることは当然と考えられます。

しかしながら2009年のギリシャ危機のように、経済的にはそれ程の影響力が無い国でも、経済危機等が生じればユーロは大きな影響を受けます。

通貨の大きな方向性はその国の経済状況に比例する、と言われます。しかしながらユーロは、法定通貨としている国が19カ国存在しており、その経済規模や経済状況は国に応じて様々です。

よって伝統的なファンダメンタル分析が通用しない側面がある通貨、との認識が必要です。また後述しますが、ユーロは経済事情より政治事情で大きく値が動くケースが多い通貨でもあります。

通貨ユーロの導入は人類史上の大実験でもあるため、他の為替と同じ土俵でのみ論じることは非常に難しい通貨です。

ユーロはEU加盟19カ国の法定通貨

改めてユーロについて内容を確認すると、ユーロは欧州連合(EU)加盟国の中の19カ国(オーストリア、ベルギー、キプロス、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、リトアニア、ラトビア)の法定通貨です。

また各国の中央銀行ではなく、欧州中央銀行(ECB:ドラギ総裁)が金融政策を担っています。

19カ国の中ではドイツの経済力はEU域内のGDPの約30%の規模であり、フランス(同約20%)・イタリア(同約15%)の順で経済的な影響力が強い状態となっています。

なお、現ECB総裁のマリオ・ドラギ氏はイタリアの出身(元イタリア銀行総裁)です。

ユーロ圏の経済指標が影響を及ぼす通貨ペアはEUR/USD、EUR/GBP、EUR/CHF

ユーロで最も取引される通貨ペアはEUR/USDです。またユーロが絡む通貨ペアでは、EUR/GBPに加えEUR/CHFも同じ欧州圏同士の通貨ペアとして多く取引がなされています。

よってユーロ圏の経済指標発表で大きな影響を受けるのは、EUR/USD、EUR/GBP、EUR/CHFの3通貨ペアが中心となります。

なお、EUR/GBP、EUR/CHFいずれも、日本人FXトレーダーにはあまり馴染みのない通貨ペアとなっています。

経済指標よりも政治情勢での変動が大きいユーロ

19カ国の経済指標及びユーロ圏全体の経済指標の内容は大切です。ただしユーロは各国や欧州全体の経済指標の発表での変動よりも、各国の政治情勢による変動要因が多いと言えます。

ユーロ採用国でEU離脱問題、難民問題の深刻化等が発生すれば、ユーロが売られやすくなります。またユーロ圏で経済的にはトップの座にあるドイツの政治が混迷すれば、ユーロの売り要因となります。

ユーロの変動要因を探るには、各国やユーロ圏の経済指標の発表等のミクロ的な視点よりも、ユーロ加盟国の政治情勢に着眼することで、値動きの背景を探ることが出来るケースが多いと言えます。

ユーロ圏の国では、足元は大きな問題は生じていません。しかし特にイタリアで難民問題が火種となっており、今後注意が必要です。

ECB理事会及びドラギ総裁の会見への注目度が高い

ユーロ採用国の政治情勢により変動する事の多いユーロですが、経済指標としてはユーロの中央銀行であるECBの理事会及びドラギ総裁の会見への注目度が高くなっています。

アメリカのFRBや日本の日本銀行と同様、ECBはユーロ採用国の中央銀行としての立ち位置であり、ECBはユーロの金融政策を決定する立場です。

ただしユーロ採用各国の合意形成が重視されており、ECBの打ち出す金融政策はマイルドな政策になる傾向にあります。

またECB理事会後に行われるECBトップである総裁の記者会見も併せて注目を浴びるケースが多く、ドラギ総裁の発言内容によりユーロが大きく動いたことが過去に何度も生じています(exギリシャ危機)。

難民問題など、ユーロ圏では様々な問題を抱えていますが、足元ではユーロを揺らすような問題は生じていません。よってECB理事会、ドラギ総裁の会見の内容でユーロが一気に動くことも近年では見られなくなりました。

しかしながらアメリカのFRBに続き、ECBも危機回避的な金融緩和の状態から徐々に金融正常化に向けて舵を切りつつあります。

よって今後の金融政策次第では、再びECB理事会やドラギ総裁の会見で、ユーロが大きな変動を見せる場面が到来する可能性があります。

重要度順!ユーロ圏の主な経済指標一覧

ユーロ圏の経済指標を重要度の順に下記にピックアップしました。

重要度[大]ECB理事会及び総裁会見:月1度、理事会の後に総裁の会見

    欧州中央銀行(ECB)の最高意思決定機関であり、ユーロ圏の金融政策を決定。ECB役員会の6名とユーロ導入国の中央銀行総裁で構成される。理事会後の総裁会見でのコメントで、為替市場が大きく動くことがある。

重要度[中]ユーロ圏製造業PMI(購買担当者指数):速報値は月の下旬に発表

    民間調査会社Markitが集計する景気指標、製造業部門の健全性と生産拡大を表す。毎月の景気動向を伝えるデータとして、政府機関が発表するデータに先行して発表される。50を超える数値は景気拡大を示すが、50を下回る数値は景気後退を示す。

重要度[中]ユーロ圏消費者物価指数(CPI):月の中旬に発表

    欧州委員会統計局(Eurostat)が発表。商品とサービスの価格変動を測定する。ユーロ圏における購買傾向の変動や、インフレを測定する需要な手段となっている。

重要度[小]独・IFO景況指数(ZEW景況感指数):毎月1回発表

    民間調査会社ZEWが発表するドイツの景気先行指数で、向こう半年の景気見通しに対する調査。約350人のアナリストや市場関係者などに対するアンケート調査をもとに算出。50を上回れば景気拡大、50を下回れば景気後退と判断される。

重要度[小]ユーロ圏消費者信頼感指数:毎月20日前後に発表

    欧州委員会が発表。ユーロ圏における個人消費動向、雇用状況、所得などに対する消費者マインドを調査し指数化したもの。

重要度[小]ユーロ圏失業率:月の上旬に発表

    欧州委員会統計局が作成。加盟各国間の失業率には大きな差があるため、平均値よりも各国の差に注目が必要。米雇用統計指標と比べると市場への影響力は限定的。

重要度[小]ユーロ圏鉱工業生産:月の下旬に発表

    欧州委員会統計局が発表。鉱工業部門の生産動向を指数化したもので、鉱工業生産部門での企業活動状況を知る事ができる。ユーロ圏失業率同様、加盟国間で大きな差が生じるため、平均値よりも各国の差に注目。

ユーロ圏の経済指標の見どころ

ユーロという通貨は人工的な通貨であり、他国の通貨とは異なる捉え方が必要です。また19カ国の法定通貨のため、単独の国の経済状況や経済指標の把握だけで、ユーロの方向性の把握は困難です。

確かにドイツは、ユーロ採用国の中で経済的に実力が抜きんでた存在です。ただしドイツは政治・経済的に安定しており、寧ろドイツ以外の要因でユーロは振り回される傾向にあります。

ユーロ圏製造業PMIや失業率他、ユーロ圏としての経済指標の発表は多くなされています。

しかしながら失業率1つとっても、失業問題は殆ど生じておらず失業率が約4%のドイツに対し、スペインの失業率は17%を超えています(2017年度)。ユーロ圏全体での失業率は10%を切っていますが、各国の失業率にまで落とし込むと大きな格差が生じています。

ユーロ圏と一言で表現可能ですが、その圏内には19カ国が存在しておりユーロ圏の平均的な経済指標を見るだけでは、ユーロを利用のトレードで勝ち切ることは難しいと言えます。またユーロ圏の経済指標の発表がなされても、為替レートが大きく動くケースは他の通貨の経済指標発表に比べると少ない状態です。

ECBドラギ総裁の任期は2019年10月まで

ギリシャ危機時の対応で金融市場からの評価が高いECBドラギ総裁は、2019年10月に任期満了を迎えます。

ECBは各加盟国の合議制で物事が決定される中、緊急避難的な措置として行っていた金融緩和について、今後ゆるやかながらも正常化への道を歩むことを既に決定しています。

ユーロ圏の各経済指標の発表は、ユーロの値動きにそれ程大きな影響を与えないケースが多い中、ユーロ圏の中央銀行であるECBの政策決定は、金融市場に大きな影響を与えます。

そして市場の信認の厚いドラギ総裁の発言も、これまで金融市場に大きな影響を与えてきました。

今後ECBが金融政策の正常化に舵を切る中で、再びECB理事会の決定及びドラギ総裁の発言に、市場の注目が集まる可能性があります。

そしてドラギ総裁の任期は2019年10月までとなっており、後任のECB総裁が誰になるかで、ECBの政策の方向性に変化が生じる可能性もあります。

2019年夏の政策金利引き上げも取りざたされており、ドラギ総裁は金利引き上げの道筋を付けた後に退任する可能性もあります(FRBイエレン前議長と同様のパターン)。

今後2019年10月のドラギ総裁退任までに、ECBの政策及びドラギ総裁の後任について、ユーロの方向を占う上で注目する必要があります。

まとめ

1999年の通貨ユーロの発足以来、ギリシャ危機など様々な波乱はありましたが、現在に至るまでユーロは通貨として存在しています。

19カ国が法定通貨として利用しているという、他の通貨では例を見ない特殊な位置付けがなされているユーロですが、通貨としては米ドルに次ぐ影響力を有しています。

実際に世界で最も取引されている通貨ペアはEUR/USDです。よって取引量の多いEUR/USDは、通貨ペアの中でも素直な値動きを見せる傾向にあります。

ユーロ圏の経済指標のみでは捉えることが難しいユーロの値動きですが、ECBの政策決定を読み解くことはユーロの値動きを掴む上では必要不可欠です。

米ドルほど経済指標発表にこだわる必要が無い、とのメリットがあるユーロですが、一方では、捉えどころがない、との欠点があるとも言えます。

しかしながら少なくとも、ECBの政策及び理事会(含むドラギ総裁の会見)の日程と内容は把握した上で、ユーロの取引は行うべきではないでしょうか。

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監修者紹介/FX専門家 五十嵐勝久

中央大学経済学部卒。アルゴ株式会社代表取締役。銀行や証券、FX会社に勤務し、営業、企画、マーケティング部に所属。40歳で会社を辞めて起業。現在はFXや証券会社などのプロモーション業務、システム開発を行う一方、システムトレーダーとしても活躍。

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