FXのおすすめ通貨ペアは?通貨の特徴・選び方・初心者におすすめは?
- 更新日: 2020/12/01
通貨の種類が多くてどれを選べば良いか分からない・・・。
FX初心者におすすめの通貨ペアってあるの?
FXを始めたばかりの方は、値動きが緩やかで、かつ取引量が多い「ドル/円」からトレードに慣れるのがおすすめです!
FXで取引できる通貨は約20種類ありますが、通貨によって特徴が異なるため、どの通貨ペアを選んで取引すればいいか分からなくなりがちです。
通貨ペアの特徴を知らないままトレードすると、急激な値動きに対処できず、資産を大幅に失ってしまいかねません。
この記事では、通貨の特徴とおすすめの通貨ペア、特徴別のランキングなどをご紹介します。
また、為替市場に影響を与えるものもご紹介するので、値動きが起こる要因も理解できます。
自分に合った通貨で取引したい方や、通貨選びに迷っているFX初心者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
- 主要通貨の特徴
- 米ドル(USD)
- ユーロ(EUR)
- 英ポンド(GBP)
- 豪ドル(AUD)
- ニュージーランドドル(NZD)
- 円(JPY)
- スイス・フラン(CHF)
- カナダドル(CAD)
- FX初心者におすすめの通貨ペアの選び方
- 流通量が多く、価格変動の小さい通貨ペアを選ぶ
- 金利差でコツコツ貯めるには、スワップポイントが高い通貨ペアを選ぶ
- 短期取引では、スプレッドが狭い通貨ペアで取引コストを抑える
- FX初心者におすすめの通貨ペア
- ドル/円
- ユーロ/ドル
- 取引スタイル別おすすめの通貨ペア
- スキャルピング・デイトレードにおすすめ:ユーロ/円
- スワップポイントで稼ぐのにおすすめ:豪ドル/円
- FX初心者におすすめでない通貨ペア
- 新興国通貨
- ハイリスク・ハイリターンな通貨ペア
- 特徴別の通貨ペアランキング
- 流通量ランキング
- スワップポイントランキング
- 取引コストランキング
- 通貨ペア数でFX会社を比較
- 通貨の値動きに影響を与えるもの
- 各国の財政政策・金融政策
- 米国の雇用統計
- 中央銀行の政策
- 長期金利
- 格付け会社の格付け
- 他の投資商品との相関関係
- まとめ
主要通貨の特徴
FXで取引できる通貨は、それぞれに特徴があり、組み合わせる通貨ペアによってトレードの難易度も変わります。
そのため、FX初心者の方は、通貨ペアを選ぶ際の判断基準を持つためにも、各通貨の特徴を理解しておくことが大切です。
通貨ペアの特徴を知っていると知らないとでは、トレードにも以下のような差がでてきます。
■通貨の特徴を知らず、なんとなくで通貨を選ぶと…
- 安定した取引をしたいのに、ハイリスク・ハイリターンになってしまった
- 値動きが激しい時間にチャートが見られず、機会損失が発生している
- 政治や経済情報が少なく、値動きの予測ができない
■通貨の特徴を知っていると…!
取引スタイルに合わせた通貨ペアを選ぶことができる
ライフスタイルに合った適切な通貨ペアを選ぶことができる
値動きの予測に必要な情報が手に入れやすい通貨ペアか事前に判断できる
ここでは、主要通貨と呼ばれるポピュラーで取引量の多い通貨を10種類ご紹介します。
FX初心者の方は、まずこのあたりの通貨の中から、取引したい通貨ペアを見定めていくといいでしょう。
日本語表記 | 英字表記 | 特徴 |
---|---|---|
円 | JPY | ・世界第3位の取引量で、安定した価値がある通貨 ・日本人は情報をキャッチしやすく、初心者におすすめ |
米ドル | USD | ・最も取引量が多い、世界の基軸通貨 ・安定した価値を持っている |
ユーロ | EUR | ・世界第2位の取引量で値動きが激しい ・短期的な取引で利益を出したい人向け |
英ポンド | GBP | ・値動きが激しい ・主要通貨の中では取引量が少なく、中級者以上向け |
カナダドル | CAD | ・豪ドルと似た性質だが、スワップポイントは高くない ・値動きもあまり大きくなく、扱いやすい通貨 |
豪ドル | AUD | ・資源国通貨で金利が高い ・スワップポイント狙いの個人投資家に人気の通貨 |
NZドル | NZD | ・豪ドルと同じ、資源国通貨 ・市場参加者の少ない時間に暴騰する場合があり要注意 |
スイス・ フラン |
CHF | ・安定した価値がある通貨 ・低金利のため、キャリートレードが多い |
米ドル(USD)
FXにおいて特に重要な通貨といわれるのが、アメリカドルやUSドルとも呼ばれている、アメリカ合衆国で流通している通貨です。
世界の基軸通貨であり、取引量も最も多いので安定した価値を持っています。
また、海外通貨にもかかわらず日本でも情報を取りやすいことから、FX初心者にも取引しやすい通貨です。
通貨ペアに米ドルが入ると素直な値動きになりやすいという特徴があります。
有事にはドル買いの傾向が出たり、発展途上国では自国の通貨よりも米ドルの方が信頼されています。
ユーロ(EUR)
ヨーロッパの欧州連合である経済通貨同盟で用いられている通貨です。値動きが激しいので、短期的な取引で利益を出したい方に人気があります。
1国の動きがユーロ圏全体に大きな影響をもたらす場合などは、特に大きな値動きを見せる傾向を持っています。
多くの国で使われている共通通貨なので、多方面の経済状況に影響を受けるということを覚えておきましょう。
2002年に発足した新しい通貨ですが、流通量は米ドルに次いで世界第2位を誇っています。
英ポンド(GBP)
主に英国で用いられている通貨です。
主要通貨よりも取り扱いが難しく、マニュアル通りの動きになりにくいため、FXトレーダーの中でも中級者以上向けの通貨といわれています。
主要通貨の中では取引量が少ないです。投機目的で売買されることが多いので、値動きが激しくなりやすいという特徴があります。
ポンドでの取引は、FXに慣れてから挑戦するのがおすすめです。
豪ドル(AUD)
豪ドルは、スワップポイントが高く、高金利通貨といわれています。
長期的に買いポジションを持つ、スワップポイント狙いの個人投資家に人気の通貨です。
値動きは激しい方なので、スワップポイント狙いで買いポジションを持つときは、エントリータイミングに気を付ける必要があります。
資源国通貨であることから、鉄鉱石、石炭、銅価格との連動性が高く、ニュージーランドドルやカナダドルに並んで、日本人に人気があります。
取引量は他の主要通貨に比べるとそこまで多くはありません。
経済活動において中国と密接な関係にあることから、中国経済の影響も受ける通貨です。
豪ドルで運用する場合は、中国の情報もチェックが必要です。
ニュージーランドドル(NZD)
豪ドルと同じ、資源国通貨です。豪ドルの値動きに影響されて価格が推移することも少なくありません。
ニュージーランドでは、市場参加者の少ない時間帯に経済指標が発表となります。
内容によってはNZドルだけが暴騰する場合もあるため、FX初心者は注意が必要です。
他の資源国通貨に比べて、乳製品価格との連動性が高い通貨です。
円(JPY)
円は日本でのみ使われている通貨です。
米ドル、ユーロに次いで世界第3位の取引量で、世界三大通貨の一角ともいわれています。
日本人なので、日本円の価値が左右される大きな天災や事件などの情報をいち早くキャッチでき、対応できる点で、初心者にとっても扱いやすい通貨といえます。
円の特徴は、海外の経済指標に影響を受けやすい点です。
例えばアメリカの金利や統計、金融政策が発表された時や、中国政府の発表などがあった際には、円も少なからず影響を受けます。
また、他国に何らかの不安材料が見つかった場合などは、とりあえず円を買っておくという、有事の円買いも起こることがあります。
なお、金利が低いという点も特徴的です。
多くの国内FX会社が、ドル/円やユーロ/円を取引候補の筆頭にしている理由は、円が絡んでいるからというだけではなくて、取引量が多く、安定している通貨ペアだからです。
ただしクロス円の通貨ペアでも、投機的な性格の強い英ポンドやマイナーな通貨との組み合わせは値動きが荒い傾向があるので注意しましょう。
スイス・フラン(CHF)
永世中立国であるスイス・フランは、安定した価値があります。
安定しているという側面から有事の際には買いが起こる傾向もあります。
低金利の通貨として、キャリートレードに用いられることの多い通貨です。
カナダドル(CAD)
カナダドルは、先進国であり、なおかつ資源国という側面があります。
オーストラリアと似た性質を持っていますが、素直で扱いやすい通貨です。
扱いやすい理由としては、豪ドルほどにはスワップポイントは高くなく、値動きもあまり大きくなく、比較的素直な性格の通貨である点があります。
また、値動きに季節性があり、原油価格との相関性が高いです。
FX初心者におすすめの通貨ペアの選び方
主要な通貨の特徴を把握できたところで、FX初心者におすすめの通貨ペアの選び方を紹介します。
投資方針に合った通貨ペアを選ぶには、通貨の特徴を知った上で、次の着眼点を持ちましょう。
- 流通量が多く、価格変動の小さい通貨ペアを選ぶ
- 金利差でコツコツ貯めるには、スワップポイントが高い通貨ペアを選ぶ
- 短期取引では、スプレッドが狭い通貨ペアで取引コストを抑える
流通量が多く、価格変動の小さい通貨ペアを選ぶ
流通量が多い通貨ペアは、比較的安定した値動きをする傾向にあります。
例えば、流通量が少ない通貨の場合は、そもそもの市場参加者が少ないため、「通貨の買い手が見つからなくなり価値が下がって大暴落した…」ということが発生します。
これが、需要と供給のバランスが崩れた状態です。
流通量が多い通貨は、市場参加者がそれだけ多いということですので、需要(通貨を買いたい人)と供給(通貨を売りたい人)のバランスが崩れる可能性が低くなります。
安定した取引をしたい方は、流通量の多い通貨ペアを選びましょう。
金利差でコツコツ貯めるには、スワップポイントが高い通貨ペアを選ぶ
FX初心者の方は、スワップポイントが高く、安定した通貨ペアを選ぶのがおすすめです。
スワップポイントは、通貨を保有しているだけで自動的に貯まるので、値動きが読めない初心者でも毎日コツコツと利益を積み上げることができます。
以下は、FX会社ごとのスワップポイント比較表です。
会社名 | 買or売 スワップ |
米ドル /円 |
ユーロ /円 |
ポンド /円 |
豪ドル /円 |
NZ /円 |
ランド /円 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
GMO クリック 証券 |
買い | 67円 | -12円 | 31円 | 31円 | 30円 | 110円 |
売り | -70円 | 11円 | -34円 | -32円 | -33円 | -110円 | |
外為 オンライン |
買い | 60円 | -26円 | 10円 | 20円 | 15円 | 50円 |
売り | -90円 | 0円 | -35円 | -50円 | -45円 | -300円 | |
YJFX! | 買い | 74円 | -10円 | 27円 | 35円 | 30円 | 120円 |
売り | -84円 | 0円 | -37円 | -45円 | -40円 | -220円 | |
外為 どっとコム |
買い | 68円 | -15円 | 32円 | 35円 | 27円 | 120円 |
売り | -98円 | 0円 | -47円 | -50円 | -42円 | -270円 | |
ヒロセ通商 | 買い | 40円 | -30円 | 11円 | 50円 | 34円 | 150円 |
売り | -140円 | -20円 | -91円 | -105円 | -89円 | -650円 |
(2018年12月6日現在)
高金利通貨と言われている「南アフリカランド」や「トルコリラ」は、スワップ運用で人気がある通貨ですが、価格変動が大きいので初心者にはおすすめしません。
南アフリカ | 6.75% |
アメリカ | 1.75% |
ニュージーランド | 1.75% |
オーストラリア | 1.50% |
カナダ | 1.25% |
イギリス | 0.50% |
日本 | 0.10% |
欧州 | 0.00% |
スイス | -1.25% |
主要国の政策金利(2018年3月現在)
例えば、2018年8月にはトルコリラの大暴落による強制ロスカットで悲鳴を上げた方も多くいました。
スワップ運用を考えているFX初心者の方は、スワップポイントの高さだけでなく、通貨の安定性にも注意しましょう。
ひと目で分かる、特徴別の通貨ペアランキング「スワップポイント」
短期取引では、スプレッドが狭い通貨ペアで取引コストを抑える
1回の取引にかかるコストには、「手数料」と「スプレッド」があります。
手数料は実質無料のFX会社も多いので、1回あたりの取引にかかるコストとして、スプレッドの狭さに注目してください。
FXを始めたばかりのころは、取引コスト分の利益を出すことですら難しいと感じる方もいます。
また、取引回数が増えるほど、取引コストの支払いも多くなります。
「利益から取引コストを差し引いた結果、マイナスになっていた…」とならないように、できるだけスプレッドの狭い通貨ペアを選びましょう。
FX初心者におすすめの通貨ペア
FX初心者におすすめの通貨ペアは次の2つです。
- ドル/円
- ユーロ/ドル
流通量、取引スタイル、取引コストなどを踏まえて、FX初心者にも取引しやすい通貨ペアを選出しました。
通貨ペアのポイントや注意点について具体的にご紹介しますので、通貨選びの参考にしてみてください。
ドル/円
- 日本でFXを始めるのであれば、ドル円から始めるのが王道
- どのトレードスタイルにもおすすめできる万能通貨
- 値動きが緩やかなため、短期間で大きな利益を上げるのは難しい
ドル円は、値動きが小さいため、まずはトレードに慣れたいFX初心者におすすめの通貨ペアです。
取引量が多いのでイレギュラーな動きをしにくく、小さな変動が多いのが特徴です。
そのため、チャート分析が比較的しやすく、短期・長期どちらのトレードスタイルでも扱いやすいです。
また、スプレッドもなど、かなり小さいFX会社がほとんどです。
取引コストが抑えられるので、取引回数が多いスキャルピングやデイトレードにぴったりです。
ユーロ/ドル
- 取引量が多い通貨の組み合わせなので動きが読みやすい
- クロス円でない通貨ペアの中では、初心者にも取引しやすい
- トレンドと反対の注文をすると損しやすい
世界第1位の取引量を誇るドルと、第2位のユーロの組み合わせです。
FX初心者の方は、クロス円でない通貨ペアの取引を難しいと思う方も多いかもしれません。
しかし、ユーロ/ドルは、最も取引が多い通貨ペアなので、動きが読みやすく初心者にとっても取引しやすくなっています。
相場の動きや傾向には、なるべく逆らわないで取引するといいといわれています。
取引参加者が多いため、イレギュラーな動きにはなりにくいためです。
例えば、集団心理が強く働くため、一旦上昇の気配を見せるとかなりレートが上昇しやすくなります。
また、反対に暴落の気配が見えた場合もかなり下がるといったことがあります。
天井や底を見極める際は慎重に行い、損をしないようにしましょう。
取引スタイル別おすすめの通貨ペア
取引スタイル別のおすすめ通貨ペアは次の通りです。
- スキャルピング・デイトレードにおすすめ:ユーロ/円
- スワップポイントで稼ぐのにおすすめ:豪ドル/円
FX初心者でも扱いやすい通貨ペアなので、取引スタイルが決まっている方は参考にしてください。
それぞれの通貨ペアについて、特徴をご紹介します。
スキャルピング・デイトレードにおすすめ:ユーロ/円
- 動きが素直で初心者でも値動きを判断しやすい
- スキャルピングやデイトレードに人気の通貨ペア
- 価格変動が大きいのでハイリスク・ハイリターンになる
ユーロ円は、トレンドに関わる情報を入手しやすく、比較的素直な値動きをすることからも、FX初心者でもチャート分析しやすい通貨ペアです。
スプレッドはドル円に次いで狭く、価格変動は大きいので、スキャルピングやデイトレードで取引を始めてみたい方におすすめです。
米ドル/円と同じような値動きをする傾向があるので、FX初心者にも取引しやすい通貨ペアですが、ハイリスク・ハイリターンになる点は注意が必要です。
スワップポイントで稼ぐのにおすすめ:豪ドル/円
- 信頼性の高い通貨で中長期の資産運用をしたい人におすすめ
- 金利が高いのでスワップ運用で保有するケースがほとんど
- 中国などの輸出相手国の経済状況に影響を受けるので注意
豪ドル/円は、スワップポイント狙いでトレードする人が大半を占めます。
金利が高い豪ドルと、金利の低い円の特徴を生かした通貨ペアです。
初心者におすすめのポイントとしては、信頼性の高い先進国通貨であることです。
通貨の価値が下がり続けて0になるというリスクがないので、中長期でも安心して運用できます。
スワップ運用を考えている方は、スワップポイントが高いトルコリラ/円を選びたいという方も多いかもしれません。
しかし、運用に慣れるまでは、豪ドル/円の運用をおすすめします。
新興国通貨は、信頼性が低く、通貨の価値が下落し続ける可能性があります。
つまり、「為替レートの変動による損失がスワップポイントを上回って大損してしまった…」というリスクが共存しているということです。
豪ドル/円に値動きがあるタイミングは、天然資源に注目が集まるときや、オーストラリアの主要な輸出相手国である中国などの経済指標に動きがあるときです。
これらの情報はチェックするようにしましょう。
FX初心者におすすめでない通貨ペア
FX初心者におすすめの通貨ペアから取引を開始することをおすすめしますが、逆におすすめでない通貨ペアについても紹介しておきます。
結論から言うと、
- 新興国通貨
- ハイリスク・ハイリターンな通貨ペア
- 以上の通貨ペアは、FX初心者にはおすすめではありません。
これらの通貨ペアについては、FXに慣れた中級者以上になってからチャレンジしたほうがいいでしょう。
新興国通貨
流通量の少ない新興国通貨は、社会情勢や経済状況などで通貨の価値が大きく変動する可能性があるので、FX初心者にはおすすめしません。
- トルコリラ/円
- 南アフリカランド/円
といった新興国通貨は、金利が高く取引してみたいと思う方も多いかもしれません。
しかし、社会情勢の変化により、通貨の価値が突然0になるようなリスクも抱えています。
信頼性が低く不安定な通貨ですので、FX初心者には取り扱いが難しいです。
また、情報が入ってきにくい新興国通貨は、値動きの予測や急な価格変動への対応が遅れやすく、ロスカットのリスクが高くなる可能性があります。
ハイリスク・ハイリターンな通貨ペア
値動きが激しい通貨ペアは、価格の急激な下落によるロスカットや資産損失のリスクがあります。
例えば、流通量の多い主要通貨であるポンドは、FX初心者にはおすすめできません。
イギリスがEU離脱の動きを見せてからは安定性が低くなっていて、時折思いもよらない動きを見せることがあります。
もともと値動きも激しい通貨ペアなので、値動きがある程度読めるレベルにならないと、急な価格変動に対応できない可能性も高いです。
- ポンド/円
- ポンド/ドル
といった通貨ペアは、FXにある程度慣れてから取引することをおすすめします。
特徴別の通貨ペアランキング
ここでは、特徴別の通貨ペアをランキング形式でご紹介します。
流通量ランキング
順位 | 通貨ペア | 取引高 | シェア |
---|---|---|---|
1 | ユーロ/米ドル | 1,173 | 23% |
2 | 米ドル/円 | 902 | 18% |
3 | ポンド/米ドル | 470 | 9% |
4 | 豪ドル/米ドル | 266 | 5% |
5 | 米ドル/カナダドル | 218 | 4% |
6 | 米ドル/スイスフラン | 180 | 4% |
7 | ユーロ/ポンド | 100 | 2% |
8 | ユーロ/円 | 79 | 2% |
国際決済銀行(BIS)をもとに作成(2016年4月時点)
流通量では、米ドルとの通貨ペアが全体の約90%を占めていて、シェアは圧倒的に「ユーロ/ドル」が多いです。
スワップポイントランキング
順位 | 通貨ペア | 買/売 | スワップポイント |
---|---|---|---|
1 | トルコリラ/円 | 買 | 704 |
2 | ユーロ/米ドル | 売 | 696 |
3 | 米ドル/スイスフラン | 買 | 694 |
4 | 米ドル/円 | 買 | 610 |
5 | ユーロ/ NZドル | 売 | 497 |
6 | ユーロ/豪ドル | 売 | 478 |
7 | 英ポンド/米ドル | 売 | 474 |
8 | 英ポンド/スイスフラン | 買 | 392 |
9 | 豪ドル/スイスフラン | 買 | 352 |
10 | カナダドル/円 | 買 | 318 |
SBI FXトレード 週間スワップポイントランキング(2019年4月8日~4月12日)
上記表からは、トルコリラ/円のスワップポイントが最も高いことが分かります。
しかし、前項でも解説した通り、FXに慣れるまでは、スワップポイントの高さだけで通貨を選ぶのではなく値動きの安定性にも注意した方が良いです。
取引コストランキング
順位 | 通貨ペア | スプレッドの目安 |
---|---|---|
1 | 米ドル/円 | 0.3 |
2 | ユーロ/米ドル | 0.4 |
3 | ユーロ/円 | 0.5 |
4 | 豪ドル/円 | 0.7 |
5 | 豪ドル/米ドル | 0.9 |
6 | 英ポンド/円 | 1.0 |
6 | 英ポンド/米ドル | 1.0 |
6 | NZドル/円 | 1.0 |
6 | 南アフリカランド/円 | 1.0 |
6 | ユーロ/英ポンド | 1.0 |
11 | ユーロ/豪ドル | 1.5 |
12 | NZドル/米ドル | 1.6 |
12 | 英ポンド/豪ドル | 1.6 |
14 | カナダドル/円 | 1.7 |
15 | 米ドル/カナダドル | 1.8 |
JFX株式会社(2019年4月22日時点)
メジャー通貨の組み合わせは、スプレッドが狭く設定されている傾向があります。
スプレッドの差を比較すると、1位のドル/円は0.3、5位の豪ドル/ドルは0.9となっており、通貨ペアによっては3倍もの差があります。
通貨ペア数でFX会社を比較
通貨ペアの数はFX会社ごとに違いますが、多ければ良いというわけではありません。
FX会社で通貨ペア数に違いがあるのは、取引量が少ないマイナー通貨の取り扱いがあるかどうかで、取引量が多い主要な通貨ペアはどのFX会社も扱っています。
主要なFX会社で取り扱っている通貨ペアの数は、以下の通りで、少ないところでは10ペア程度、多いところでは150ペア以上の取り扱いがあるFX会社も存在します。
FX会社 | 取り扱い通貨ペア数 |
---|---|
サクソバンク証券 | 158ペア |
IG証券 | 86ペア |
ヒロセ通商 | 50ペア |
SBIFXトレード | 34ペア |
楽天証券 | 26ペア |
外為オンライン | 25ペア |
セントラル短資 | 25ペア |
上田ハーロー | 24ペア |
YJFX! | 24ペア |
外為どっとコム | 30ペア |
DMM.com証券 | 20ペア |
GMOクリック証券 | 20ペア |
マネックス証券 | 16ペア |
インヴァスト証券 | 12ペア |
カブドットコム証券 | 12ペア |
(※2020年3月25日時点)
特に、これからFXを始める方は、通貨ペア数の多さをあまり気にする必要はありません。
FX初心者の場合は、情報量が少なく、値動きの予測が難しいマイナー通貨の取引はおすすめではないためです。
ただし、自分が取引したい通貨ペアが取り扱われているかどうかは、事前に確認しておきましょう。
通貨の値動きに影響を与えるもの
通貨の特徴や、おすすめの通貨ペアについてご紹介しましたが、通貨ペアを選ぶときは、値動きに関わる情報を入手しやすいかどうかもチェックしておくべきです。
為替市場に影響を与える情報としては、次のようなものがあります。
- 各国の財政政策・経済政策
- 米国の雇用統計
- 中央銀行の政策長期金利
- 格付け会社の格付け
- 他の投資商品との相関関係
これらの情報を早く入手できると、相場の変動にいち早く対応できます。また、大きな値動きが起こる前に対策ができるため、損失を被るリスクを減らすことができるでしょう。
現在は、ネットや新聞などでも情報を確認できますが、国によって情報の量、質、早さが異なるので注意しましょう。
各国の財政政策・金融政策
FXにおいては、各国の金融政策や経済政策は無視できるものではありません。為替相場の大きな流れを作る、ということを知っておく必要があります。
その国の歳出と歳入がどのようになっているのか、どのような経済政策をとるのかは非常に重要なポイントです。
例えば、日本では、2012年の衆院選後に安倍政権が行った「アベノミクス」があげられます。
アベノミクスは、リーマンショック以降、量的緩和を行わなかったために円高で悩んでいた日本を円安状態に変えた経済政策です。
2012年12月の衆院選直後の月曜日には、為替相場が早くも円安方向に動き、結果としては、その後1年間で18%も円安が進みました。
アベノミクスからも分かるように、金融政策や経済政策は為替に対して長期的な影響を与えるのです。
米国の雇用統計
米国の雇用統計は、結果が為替に大きな影響を与えることから、毎月大きな注目を集めています。
雇用統計の発表前は、発表に向けて相場が様子見ムードになり、発表直後に、ドルが絡む通貨ペアのレートが、急騰・急落することが珍しくありません。
これほどまでに注目を集めている理由は、リーマンショックにあります。
リーマンショック後、FRBが金利引き下げを行うにあたり雇用状況を参考にしていたので、その結果として雇用統計が注目されるようになりました。
現在も、雇用統計の結果を勘案して、FRBは利上げなどの金融政策を決めています。
そのため、雇用統計は大きな注目を集める指標となっていて、FRBの金融政策を予測するための材料として重視されているのです。
なお、市場が最も注目する指標は、市場が最も注目するテーマの移り変わりとともに変わっていきます。今後、雇用統計が、今と同様、市場に最も影響を与える指標であり続けるかどうかは分かりません。
しかし、現在は、雇用統計が最も為替市場に影響を与える指標となっています。どの通貨ペアで取引しているにせよ、市場が注目しているテーマですので注視しておく必要があります。
中央銀行の政策
中央銀行の政策は、為替相場に大きな影響を与えます。
各国の中央銀行は、インフレターゲットと呼ばれる物価上昇率を定めていて、インフレターゲットの範囲に収まるように物価をコントロールしています。
仮に、インフレターゲットよりも物価上昇率が高かったとします。すると、インフレターゲットの範囲に収めるために、中央銀行が様々な政策を打ち出してきます。
利上げが行われる場合には、その通貨は買われて通貨高になる可能性も出てきます。
このような動きがあるため、中央銀行の政策には、注目するようにしましょう。中央銀行が設定しているインフレターゲットに対する物価の状況は、消費者物価指数などの経済指標で確認できます。
長期金利
長期金利に関しては、債券市場での売買で決まります。中長期運用を考えている場合は、チェックするようにしましょう。
各国によって、次のような金利の違いがあります。
円(JPY)
アベノミクスによる金融緩和政策で日銀が量的緩和を行っているため、金利は非常に低い状態が続いています。
米ドル(USD)
ドル円やユーロ円などのドルストレートの通貨ペアは、米国の長期金利の動向の影響を受けることが多くなります。米国では、リーマンショックによる金融危機対策で、ゼロ金利政策と量的緩和を実施していました。2014年にゼロ金利政策を終了した後は、政策金利を段階的に引き上げています
ユーロ(EUR)
EUでは、加盟国の一つ一つが国債を発行していますが、加盟国それぞれで国債の利回りは違います。そのため、ユーロに関しては、各国それぞれの国債の利回りはあまり参考になりません。ただし、EU加盟国の中でも影響のあるドイツの国債の利回りや、ドイツとEU加盟国とのイールドスプレッド(※)の状態はユーロに影響するので、どうなっているのかを確認するのがおすすめです。
※10年債の利回りの差。ドイツとEU加盟国とのイールドスプレッドの拡大は、ユーロの場合はユーロ安となり、イールドスプレッドの縮小はユーロ高となる。
格付け会社の格付け
格付け会社は、国債の格付けを引き上げたり、引き下げたりすることで、為替相場に大きな影響を与えます。
次の3社の格付けには、注目するようにしましょう。
- スタンダード&プアーズ(S&P)
- フィッチ
- ムーディーズ
これらの3社が行う国債の格付けと連動するように、その国債の発行元である国の通貨も買われたり売られたりします。
例えばフィッチがニュージーランドの国債の格付けを引き下げたとしましょう。すると、デフォルトの危険性が高まったとして悲観されてしまい、NZドル安となります。
また、反対に国債の格付けを引き上げたら、それが好感されてNZドル高となるのです。
格付け会社の格付けも、為替相場を予測する判断材料になるので必ずチェックしておきましょう。
他の投資商品との相関関係
資源国の通貨によく見られる特徴ですが、通貨ペアによっては、他の投資商品との相関関係が高いものもあります。
例えば、豪ドルの場合は、金や銀などの価格に連動する場合があります。
金や銀などの輸出の際に、資源価格が高くなると輸出額も増えます。
そして、輸出額が増えれば自国の経済が潤うため、通貨の価値が高くなるという仕組みが影響しています。
オーストラリアでは鉱業が盛んで、輸出品目別でみても、鉄鉱石が1位で28.6%、石炭が2位で16.3%となっています。
輸出品目の約50%近くが鉱業を占めているため、金や銀などの価格変動と連動するかたちで通貨の価値も変動するのです。
また、カナダドルもWTI原油価格との相関関係が高いことで知られています。カナダは原油生産国で、米国へ大量の原油を輸出しています。
WTIはテキサス州及びニューメキシコ州を中心とした地域で算出される原油のことを指していますが、もともと、米国は国内での原油産出量以上に消費量が多く、カナダから多くの原油を輸入していました。
そのため、カナダドルはWTI原油価格との相関関係が高いといわれています。
近年、シェールガスやシェールオイルの米国での生産量が増加したことで、カナダから、より多くの原油を輸入するようになっています。
そのため、カナダドルとWTI原油価格との相関関係は依然として強い状態にあります。
このように通貨ペアによっては、相関性の高い投資商品価格についてもチェックすることが必要なのです。
まとめ
通貨の特徴やランキング、初心者におすすめの通貨ペアについてご紹介しました。
FXでは、根拠もなく適当に通貨ペアを選んでしまうと、大損をしてしまう可能性が高くなります。
繰り返しになりますが、FX初心者におすすめの通貨ペアは次の2つです。
- ドル/円
- ユーロ/ドル
特に、米ドル/円は取引しやすい通貨ペアですので、迷ったときは米ドル/円を選ぶことをおすすめします。
また、取引スタイル別のおすすめ通貨ペアは次の通りです。
- スキャルピング・デイトレードにおすすめ:ユーロ/円
- スワップポイントで稼ぐのにおすすめ:豪ドル/円
FX初心者が通貨ペアを選ぶ際は、次のポイントに気を付けるようにしましょう。
- 流通量が多く、価格変動の小さい通貨ペアを選ぶ
- 金利差でコツコツ貯めるには、スワップポイントが高い通貨ペアを選ぶ
- 短期取引では、スプレッドが狭い通貨ペアで取引コストを抑える
FX初心者は、まずは取引に慣れることが大切です。
大切な資産を損失しないためにも、それぞれの通貨の特徴と通貨ペアの特徴、そしてどういったことに影響を受けやすいのかをしっかりと覚えてから取引しましょう。
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