【CAD】カナダドルの特徴と見通し、取るべきFXトレード戦略は?
- 更新日: 2019/01/23
日本ではまだカナダドルを触っている人は少ないかもしれませんが、カナダは優等生的な国で経済も良く、実は魅力のある通貨なんです。
とくにポイントなのが利上げサイクルに入っている点で、今後スワップポイントの観点からも期待することもできます。
え、カナダドル? 何それ、おいしいの?
ぶっちゃけカナダドルなんてチェックしたことなかったです。
なにかおもしろい通貨があったら、ぜひ知りたいです!
こういった人向けに、今回はこのカナダドルについて、1から丁寧にポイントを解説していきます。
まさにこれからが楽しみな魅力的な通貨なので、興味を持った人は一度チェックしてみることをおすすめします!
この記事の目次
2018年 カナダドル円の見通しは?
2018年のカナダドル円は約90円からスタートしましたが、3月にかけて80円近くまで下落しています。しかし、その後徐々に上向いてきており、9月末時点で88円まで戻してきているというようなのがざっくりとした流れです。
市場で注目されているポイントとしては、「今後も利上げが進展がどうか?」というところです。順調に利上げサイクルが進んで行けば、カナダドルは大きな上昇も期待できるところです。
ただし、現在、アメリカのトランプ政権との間でNAFTA再交渉が行われており、これに対する懸念がカナダドルの頭を重くしているような状態です。ひとまずはこのNAFTA再交渉が合意に至るかどうかが、カナダドル円の行方を占ううえでの鍵になっていくでしょう。
カナダドル(CAD)の特徴
カナダドルは“安定感のある資源国通貨”
カナダは日米欧主要7ヶ国(G7)にも入る先進国であり、国債格付けはAAAと安定感があります。
また、カナダでは資源が豊富に産出されており、カナダドルは資源国通貨という特徴もあります。ざっくりと“安定感のある資源国通貨”というイメージを持っているといいでしょう。
資源国通貨であるカナダドルの相場は、原油相場と強い相関性を持っています。
原油相場が下落するとカナダドルも下落圧力を受け、原油相場が上昇するとカナダドルも上昇圧力を受けることになるので、カナダドルを触るうえで原油相場は無視できません。
2015年末にアメリカが約10年ぶりに利上げの決定をしてから、世界的にも金融緩和策の正常化がテーマとなってきています。
この点は、カナダ中央銀行が利上げをアメリカに次いで始めており、今後の利上げ方針については大きく注目されるところです。
この利上げサイクルのスタートによって、カナダドルが高金利通貨の仲間入りをしていくことも考えられます。
そのため、FX取引においては利上げによる上昇が期待できるとともに、スワップポイントを大きく稼げる可能性も秘めた通貨でもあります。
主な上昇要因
では、カナダドルの大まかな特徴を踏まえつつ、その変動要因について確認していきましょう。まずは、カナダドルの上昇につながるところからです。
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国際情勢NAFTA再交渉の合意への期待、中東における地政学リスクの高まり
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政治連邦政府による財政支出策の発表
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金融政策カナダ中央銀行による利上げのさらなる進展
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経済指標予想よりも良い経済指標結果(雇用統計、GDP、CPI等)
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その他原油をはじめとする資源価格の上昇
金融政策から見ていきますが、カナダ中央銀行は2017年に利上げをスタートしており、注目されるのは今後のペースです。
2019年も利上げを継続していくと予想される場合は、カナダドルの上昇につながっていきます。
現在、この期待への足かせとなっているのが、アメリカとのNAFTA再交渉が未だに合意に至っていないという状況です。
なぜなら、もしアメリカとの間で合意形成がうまく取れなかった場合、アメリカとの関係の深いカナダ経済にもダメージを与えかねないからです。
カナダ経済にマイナスの影響が出てしまうと、利上げのさらなる進展も期待できなくなるため、NAFTA再交渉はカナダドルにとっても非常に重要になっています。
もし合意形成ができた場合には、足かせが外れてカナダドルが上昇が期待できます。
基本的にカナダ経済にプラスとなるものは、カナダ中央銀行による利上げ進展期待へとつながり、カナダドルの上昇要因となるイメージです。
その他、中東における地政学リスクの高まりは原油高騰につながるため、これもカナダドルの上昇要因になります。
主な下落要因
次に、カナダドルに下落につながっていくものについても見ていきましょう。上昇要因とは裏表の関係になっているものも多いので、そういう視点で見ていくことで理解しやすくなるかもしれません。
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国際情勢NAFTA再交渉が難航する懸念、米中貿易摩擦の激化
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政治カナダ経済の減速懸念
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金融政策カナダ中央銀行による利上げペースの鈍化
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経済指標予想よりも悪い経済指標結果(雇用統計、GDP、CPI等)
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その他原油をはじめとする資源価格の下落
上昇要因とは逆で、カナダ中央銀行による利上げが思ったよりも進まない場合に、カナダドルは下落していくことになります。
その可能性につながるのがNAFTA再交渉の難航で、これが現在の大きなテーマになっている状態です。
ということで、下落要因となるのは基本的にカナダ経済の減速につながるようなもので、カナダ経済が減速するとカナダ中央銀行による利上げペースが鈍化してしまう、という流れです。
また、近年の世界的な保護主義の流れに関連して、米中貿易摩擦の激化が問題になっています。
これはカナダは直接関係ありませんが、貿易摩擦は世界経済にとってマイナスとなり、間接的にカナダにも影響を与えることになります。
いわゆるリスク回避の流れというものですが、これもカナダドルを下落させる要因の1つです。
(※)以上の上昇・下降要因については一般的な反応を挙げたものであり、相場状況によっては逆の動きになることもあります。
例えば、上昇要因を期待して相場が上昇した後に結果が出ると、織り込み済みということで下降の反応になることもあります。
カナダドルを取引するうえで知っておきたいこと
これまでのところで、カナダドルという通貨の特徴について説明してきました。ここからは、FXでカナダドルを取引に関する部分の説明をしていきます。
自分のトレードスタイルに合っているかどうかという観点で見てください。
取引におけるメリット・デメリット
カナダドルは資源国通貨であり、利上げサイクルに入ってきているという特徴があります。この特徴を踏まえつつ、カナダドルを取引するうえでのメリット・デメリットについて解説していきます。
知っておきたい3つのメリット
まずはメリットのほうからですが、以下の3つのメリットが挙げられます。
- テーマが比較的わかりやすいボラティリティが比較的安定しているスワップポイントを狙った取引ができる
1点目ですが、カナダドルは利上げサイクルや原油相場に相関するということで、比較的テーマがわかりやすいところがあります。
そのため、認知度があまり高くない通貨だとは思いますが、取引を始めてみると慣れるのは比較的早いと思います。
2点目はカナダドルは動きが安定していて、極端な動きによって大きな損失を出すリスクが比較的少ないというところです。
イメージとしては、カナダドル円のボラティリティはざっくりドル円と同じぐらいと考えていいでしょう。
参考として、ここ1年の平均的な1日あたりの変動幅を挙げておくと、カナダドル円は0.79、ドル円も0.79、ユーロ円は1.13、ポンド円は1.37というかたちです。
ポンド円ほど怖くはないんだ、というイメージを持っていただければと思います。
3点目はスワップポイントについてですが、利上げサイクルに入っているカナダドルは意外とスワップポイントが高いという点です。
今後利上げが進んでいけばスワップポイントもより高くなるので、下がったところでは拾うと後々うれしいことになる可能性のある通貨と言えます。
知っておきたい3つのデメリット
次にデメリットですが、カナダドルを取引するうえで、あらかじめ以下の3点について知っておいたほうがいいでしょう。
- スプレッドが広めの設定になっているアメリカの動きに引っ張られることも多いカナダに関する情報入手はややハードルが高い
1点目ですが、残念ながらカナダドルはそこまで人気のある通貨ではありません。そのせいもあってか、正直なところスプレッドが広い設定となっていることが多いです。中にはひどい広さのスプレッドになっていることもあるので、取引したい人はスプレッドはあらかじめチェックしておきましょう。
2点目は、カナダドルの値動きに関する部分です。カナダドルはアメリカの北側に隣り合っていますが、アメリカの影響を受けやすい側面があります。
そのため、カナダドルはドルの動きに引っ張られることも多々あります。
また、時間帯もアメリカと同じため、経済指標などの発表もアメリカと同じタイミングで行われます。
例えば、カナダの経済指標結果よりもアメリカの経済指標結果が強く相場に影響を及ぼすこともあり、カナダだけを見ていると相場を理解しにくいことがあります。
3点目は、情報入手の側面です。昨今はFXの情報収集環境はありがたいことに非常に整ってきていますが、カナダドル通貨は人気が低いため、情報量はメジャー通貨に比べると劣る部分があります。
そのため、有効な情報を適時に入手して相場分析に役立てるというのが、少しやりにくいところがあるように感じます。
とはいえ、昔のFXの環境に比べたら良くなっているはずので、これは高望みなのかもしれませんね。
取引戦略を立てるうえでのポイント
カナダドルを取引するにあたってのメリット・デメリットを見てきましたが、では、どういった取引戦略を立てていけばいいのでしょうか? 意識しておきたい主なポイントを解説をしていきます。
長期目線で余裕を持った取引を心がける
カナダドルはスプレッドが広めな設定になっており、ボラティリティが高いというわけでもないので、あまり早い回転のトレードには向いている通貨とは言えません。
どちらかというと、比較的長めの取引のほうが相性は良いでしょう。
長めの取引をする際には、スワップポイントが発生することになりますが、とくにカナダドル円に関しては、今後もスワップポイントが高くなっていく可能性もあります。
スワップポイントで稼ぎやすいという意味でも、長期目線での取引がおすすめです。
なお、長くポジションを抱えることになる長期取引は、それだけリスクも高まるということになります。
そのため、あまり高いレバレッジをかけるべきではなく、できるだけ資金的に余裕を持った取引戦略を立てていくことが望まれます。
原油相場も併せてチェックする
カナダドルは原油相場と相関性が高い通貨です。そのため、カナダドルの取引戦略を立てるうえでは、原油相場や原油関係のニュースについてもチェックしておくことで、より効果的な取引が可能になります。
原油に関しては、産油国による生産調整や中東における地政学リスクなど、ニュース手動でトレンドが発生することがあります。
その影響によってカナダドル相場が動いている時に原油をチェックしていないと、相場の流れがよく理解できないことがあります。
カナダドルの相場を理解し、いち早くトレンドに乗っていくために、原油相場や原油関係のニュースについては必ずチェックするようにしましょう。
ちなみに、FX会社にはCFD取引のサービスを提供していて、原油のチャートを簡単に見られるところもあります。カナダドルを取引する際は、そういったFX会社を使うのがけっこうおすすめです。
原油チャートが見られるFX会社
NAFTA再交渉の行方には要注意
アメリカでトランプ政権が誕生して以降、世界的に保護主義の流れにより貿易戦争が起こっています。
こういった争いは世界的なリスク回避の流れにつながるため、カナダドルにとってはマイナスの要素です。
これがカナダにおいては、アメリカとのNAFTA再交渉というかたちで出てきており、その行方には大きな関心が集まっています。
NAFTAというのは、アメリカ・カナダ・メキシコの3ヶ国の間の自由貿易協定ですが、アメリカが離脱をちらつかせて有利な条件を引き出そうとしているというわけです。
カナダ経済のみならず日本にも影響を与えかねない重要なテーマですが、再交渉がうまく合意でまとまるのか、そして、合意された場合にはその中身がどういうものかによって、大きくカナダドルも動くことが想定されます。
大きなリスク要因となっているこの問題の行方次第で、カナダドルのトレンドが決まっていくことも考えられます。
ファンダメンタルズ的にも重要なので、NAFTAというキーワードを見たら必ずチェックするようにしましょう。
カナダドル取引が向いている人は?
カナダドルの取引についてさまざまな角度から見てきましたが、最後に、これまでの内容を踏まえたうえで、スイスフラン取引に向いている人の特徴を挙げておきます。
- 長期目線での取引をしたい原油相場が得意カナダという国に関心がある
カナダドルはどちらかというと長期目線での取引が向いているという説明をしました。
そのため、短期トレードをしたいという人よりも、そういった長期取引に興味がある人に向いている通貨と言えるでしょう。
長期取引となるので、レバレッジは低い取引が推奨されます。ハイリターンを狙いたいという人よりも、安定運用志向の人のほうが向いている通貨ということになります。
利上げサイクルに入りスワップポイントも期待できるカナダドルで、ぜひじっくり運用していってください。
そして、他の要素としては知識面のことです。原油相場が重要な要素になるカナダドルなので、もともと原油関係の知識に自信があるという人は有利になってきます。
原油投資経験者の人の場合は、シナジーの聞くカナダドル取引はおすすめです。
最後に、やっぱり好きというのは大きいということにも触れておきます。カナダ関係の情報入手は少し大変なところもあります。
この点、カナダが好きという人は情報入手を楽しく続けられるので、知識が深まっていくのが早いはずです。
“好きこそ物の上手なれ”ということで、カナダ好きの人は文句なく向いているように思います。
まとめ : カナダドルはゆっくり運用できる通貨
カナダドルという通貨の特徴、FXにおけるカナダドル関連の取引について、ザッと解説をしてきました。カナダドルに関するイメージができるようになったのではないでしょうか。
「カナダドルは自分に合いそうだな」と感じた人もいらっしゃると思います。
最後にまとめということで、今回の内容の中でとくに大切な部分を、おさらいとしていくつか復習していきます。まず、カナダドルの特徴からです。
カナダドルの特徴
- カナダドルは“安定感のある資源国通貨”カナダドルは原油相場と強い相関性を持つカナダ中央銀行は利上げを開始している
次に、取引戦略を立てるうえでのポイントです。カナダドルの特徴も踏まえて、しっかり押さえておきましょう。
取引戦略を立てるうえでのポイント
- 長期目線で余裕を持った取引を心がける原油相場も併せてチェックするNAFTA再交渉の行方には要注意
これらのポイントを意識することによって、カナダドルでリスクを抑えつつ、安定した収益を狙いやすくなるでしょう。
メジャー通貨ではありませんが、比較的テーマがわかりやすい通貨です。興味を持った人は、ぜひ一度カナダドル相場をチェックしてみてくださいね。
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中央大学経済学部卒。アルゴ株式会社代表取締役。銀行や証券、FX会社に勤務し、営業、企画、マーケティング部に所属。40歳で会社を辞めて起業。現在はFXや証券会社などのプロモーション業務、システム開発を行う一方、システムトレーダーとしても活躍。
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