【FX予想】豪ドルの2019年見通しやトレード戦略を徹底解説

  • 更新日: 2019/03/11

豪ドル(AUD)2019年の見通し

    昨年終盤からの景気減速や米中貿易摩擦が重しRBAによる利下げの可能性もあり、2019年の豪ドルは下押し圧力の強い一年に


スワップポイントが高く、日本との時差が少ないことから取引しやすい豪ドルは、日本人トレーダーにも人気の通貨です。
そんな豪ドルは、昨年まで下降トレンドが続いていました。足元では底から抜けた感がありますが、今後、どのような展開が予想されるでしょうか?
2019年の豪ドルの見通しや、取引の際に注意すべきポイントなどを解説します。

2019年豪ドル(AUD)の見通しは?

オーストラリアでは、移民受け入れ政策による急激な人口増加が住宅増加やインフラ需要の拡大をけん引した結果、消費支出を後押したことで、経済成長が続きました。2018年の実質GDPは2Q (2018年4月-6月)までは前期比1.0%となるなど、好調に推移していました。

しかし3Q(2018年7月-9月)に入ると、同0.3%と大幅に伸び率が鈍化し、個人消費の伸び率も1Q(2018年4月-6月)の0.7%から3Qの0.2%に大きく低迷しました。

その理由として、住宅ローン残高が過去最高水準になった一方で、シドニーやメルボルンといった大都市圏での住宅価格が下げ止まらず、個人資産が縮小したことが原因と考えられています。また、3Qの賃金の伸び率も0.2%と鈍化しているため、このことも個人消費を低迷させる原因の一つになったとみられています。

前述のとおり、オーストラリアの個人消費は伸び悩んでいますが、消費者マインドを示すWestpac消費者信頼感指数は、細かい変動はあるものの、昨年末まで概ね堅調に推移していました。

今年1月のWestpac消費者信頼感指数は-4.7%と前月の0.1%から急低下したことで消費者マインドの冷え込みが懸念されましたが、2月には4.3%と再び上昇し、足元では楽観的な見方が優勢となっている模様です。

今年の2月にオーストラリアの中央銀行であるRBAが、個人消費の低下と住宅価格の下落を理由に経済成長率を下方修正したことを勘案すると、2月のWestpac消費者信頼感指数の結果はポジティブサプライズだったかも知れません。

これまでオーストラリアは順調な経済成長を遂げており、リーマンショック時も最小限のダメージで済むなどしてきました。その背景には、中国の存在があります。

オーストラリアの最大の貿易相手国は中国です。しかし、中国は昨年から米国との間で貿易摩擦を抱えています。

米国の対中関税発動による米中貿易摩擦の激化が進んでおり、鉄鉱石を代表とする中国経済への依存度が高いオーストラリア経済もそのあおりを受け、豪ドル相場は下落基調が続きました。

米中貿易摩擦の激化で中国の景気減退が不安視されているのに加え、米FRBが金融引き締めに転換し利上げを行ったことで、米ドル高圧力を高まったことが、豪ドルの下落の大きな原因となったのです。

そんな中、今年1月の終わりに、米FRBのパウエル議長がこれまでの『タカ派』的態度を一転し、先行きの利上げ実施について慎重な姿勢を示し、バランスシートの縮小終了を示唆するなど『ハト派』的な姿勢に転じました。

これにより、米ドル高圧力は弱まりつつあります。

それに加え、EUも景気減速の兆候が出ていることから、1月24日に開催された今年最初のECB理事会後の会見で、ドラギ総裁は、短期的な成長の勢いはこれまでの予想より弱くなるとの見方を示し、金利については今年の夏までは現行の水準を据え置くとしました.

これまで今年の秋以降に行われると予想されていたユーロの利上げが、来年にずれ込んだと市場では見ています。今年の利上げ期待を織り込んだユーロ高が後退したことで、ユーロ高圧力も弱まっています。

このように、米ドル高圧力やユーロ高圧力は今年に入って弱まっています。そのため、今年に入ってから豪ドルは底入れしています。

また、中国政府も、米国による対中制裁の影響を緩和するため、金融緩和に加え積極的な財政出動や大減税、地方債の拡大等を行い、景気の下支えを優先しています。

そのため、市場には中国景気の大幅な減退は回避されるのではないか、との期待も出てきています。このことも、豪ドルの下支え要因となっています。

一方、払拭(ふっしょく)されない不安材料もあります。米国との貿易摩擦に対し、中国は米産品の輸入拡大を図るなど、貿易面での歩み寄りを見せています。

ただ、その輸入品の中には、小麦や綿花、牛肉、LNG(液化天然ガス)など、オーストラリアと米国とで産品が競合するものが含まれています。もし仮に、それらの全てが米国産品へシフトするようなことがあれば、中国からの需要が大きく減少する可能性があります。

このように、現在オーストラリアでは、米国の対中関税発動で中国経済が低迷することによる需要減少が不安視されている他、中国の米産品の輸入拡大という、米国に対する軟化姿勢の影響で、米国との競合品の中国への輸出が一気に減少することも懸念されているのです。

このような状況から、RBAのロウ総裁は、2月6日の講演で、失業率が増え、インフレの停滞が続けば利下げが適切になるとの考えを示し、これまでのタカ派的な姿勢からハト派的な姿勢に転換しています。

一方で、オーストラリアの経済成長は上昇トレンドにあり、失業率も今後低下していくとのシナリオは変更していないとも話しています。

ただ、政策金利に関しては、上下どちらにも向かう可能性があり、ここ1年は上に向かう可能性が高かったが、現状は均衡しているとの発言をしたことから、利下げの可能性が出てきたとして、豪ドルは急落しています。

すでに書いたとおり、現状、オーストラリアの経済成長や消費の伸びは、鈍化の兆候が出てきています。また、住宅価格の下落や、米産品との競合による豪産品の中国への輸出減少も懸念されています。

このロウRBA総裁の発言はそのような状況を踏まえたものと考えられ、オーストラリアの経済指標が、今後軟調な結果が続くようであれば、利下げが意識され豪ドル売りが強まるものと考えられます。

今年の豪ドルの注目材料

  • 利下げの有無
  • 米中貿易摩擦の動向
  • 中国の景気動向
  • インフレ動向

主な上昇要因

国際情勢 米中貿易摩擦の緩和
政治 総選挙で与党が勝利
金融政策 RBAによる利上げ
経済指標 生産者物価指数、小売売上高、雇用者数変化、
失業率等、オーストラリアの経済指標の上振れ
その他  原油価格の上昇、中国の経済指標の上振れ

今後のオーストラリアの景気動向については不透明になりつつあるものの、一方で好材料もあります。例えば、オーストラリアの主要資源である石炭の価格は持ち直してきています。

また、石油価格と商品価格とは相関性が高いため、資源国である同国にとって、足元の原油価格の上昇はポジティブです。このことが、ここ最近の豪ドルの下支え要因になっています。

その一方で、激化する米中貿易摩擦が、オーストラリアにとって最大の貿易国である中国の経済に影を落としています。中国はこのところ景気減速傾向にありましたが、米国からの制裁関税により、減速の度合いが顕著になっているのです。

ただ、中国もただ手をこまねいているわけではなく、景気テコ入れ策に本腰を入れています。

中国で2018年12月19日から21日まで行われた中央経済工作会議では、2019年の経済政策について、積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を継続する方針を確認しています。

これにより、国内の個人消費の停滞を回避し、景気減速に歯止めをかける狙いがあります。

中国が景気減速を食い止めるべく、景気刺激策をとったことは、対中貿易依存度の高いオーストラリアにとってはポジティブです。中国の経済指標の結果にもその効果が顕れるようになれば、豪ドルの下支え要因になると考えられます

主な下落要因

国際情勢 米中貿易摩擦の激化
政治 政権内での政治的混乱、総選挙で与党が敗北
金融政策 RBAによる利下げ
経済指標 生産者物価指数、小売売上高、雇用者数変化、
失業率等、オーストラリアの経済指標の下振れ
その他 原油価格の下落、中国の経済指標の下振れ

オーストラリアでは今年5月までに総選挙が実施される予定です。現在のオーストラリアの首相であるモリソン氏は、市場からの評価が高いものの支持率の低迷に悩んでいます。

昨年12月の前回世論調査では、野党支持率を8%下回るなど溝を開けられていましたが、2月18日に公表された世論調査では、モリソン首相率いる与党保守連合の支持率は49%と、野党労働党の51%との差を縮めています。

その後、2月20日に国民に人気の高いビショップ前外相が政界引退を発表したため、再びモリソン政権の支持率低迷が懸念されています。

先ほど書いたとおり、最新の世論調査でも与党の支持率は野党より低く、今のところ、5月の総選挙では敗北する可能性が高いと言えます。

ただ、同国はこれまでも政権が不安定で、過去10年のうちに6回の首相交代を経験していることから、今回の総選挙で、仮に政権交代しても、市場に与えるインパクトは予想より大きなものにはならないかもしれません。

とはいえ、今年行われる総選挙で与党が敗北した場合、豪ドルの下押し圧力になる可能性がある、ということに注意が必要です。また、政権交代した場合の政策変更が、豪ドル売りを誘う可能性があることにも留意しましょう。

さらに、オーストラリアの景気後退にも注意が必要です。オーストラリアはこれまで景気後退なしの成長を27年連続で続けてきました。

2000年代には原油価格上昇に伴う資源価格の上昇がオーストラリアの経済成長をけん引し、リーマンショック後は、住宅市場が経済成長を支えてきたのですが、最近では住宅価格の下落に歯止めがかかりません。

この状況が続けば、住宅所有者が支出を控え、オーストラリアの消費が冷え込むことになります。

RBAは2月8日に公表した金融政策報告書で、オーストラリアのインフレ率やGDP成長率の見通しを引き下げたことに加え、大都市圏を中心に下落が続く住宅価格の動向を懸念しています。

このことから分かる通り、同国の経済見通しは、これまでのように楽観的なものではなくなりつつあるのです。今後、オーストラリアの経済指標が景気後退を示すものとなれば、RBAによる利下げの可能性が高まり、豪ドル売りが強まるでしょう。

豪ドルを取引する際のポイントとは?

ここからは豪ドルの取引に関する部分を解説していきます。

豪ドルをFX取引するメリット

それでは、豪ドルをFXで取引することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
豪ドルを取引するメリットについて紹介していきます。

豪ドルをFX取引するメリット

    時差の関係から、豪ドル円は東京時間によく動くため取引しやすい
    日本とオーストラリアの時差は1~2時間程度であることから、東京市場とそれほど変わらない時間帯に市場が開いています。そのため、東京時間によく動くことから、日本のトレーダーにとって豪ドル円は取引がしやすい通貨であると言えます。

    ドル円ほどではないが、豪ドル円のスプレッドは狭い
    ほとんどのFX会社で、最もスプレッドが狭いのは米ドル円です。しかし、豪ドル円も米ドル円ほどではないにせよ、他の通貨ペアと比較してスプレッドが狭くなっていることが多いため、取引コストがあまりかからず取引がしやすいのが特長です。

    ドル円に比べると豪ドル円はよく動くため、デイトレしやすい
    豪ドル円は、ド円と比較してよく値動きするため、デイトレードに向いている通貨ペアであると言えます。

    以前ほどではないが、スワップは比較的高め
    オーストラリアの政策金利は以前よりも低いため、昔に比べスワップは高くありません。しかし、それでも他の通貨ペアと比較した場合、スワップは高い方であると言えます。そのため、スワップ狙いのトレードにも向いていると言えます。

豪ドルをFX取引するデメリット

FXで豪ドルを取引する際にデメリットとなるのはどういった点でしょうか?
豪ドル円を取引するデメリットを紹介します。

豪ドルをFX取引するデメリット

  • 政策金利引き下げの可能性があるため、今後、受取スワップが減る可能性も
    オーストラリアでは、利下げの可能性が浮上しています。それが実現した場合、スワップが減ってしまう可能性があるため、長期保有のメリットが失われるかもしれません。

  • よく動く分、要人発言や経済指標の上振れ・下振れで予想以上の暴騰や暴落が起こる
    豪ドル円はよく動くのですが、その分安定性に乏しいということもできます。要人発言や経済指標が発表されたときには、予想以上のボラティリティとなり、暴騰したり暴落したりすることも考えられます。そのため、安定した取引をしたい人には不向きな通貨であると言えます。

今後の豪ドルのトレードで取るべき戦略

それでは、今後の豪ドルのトレードではどういった戦略をとるべきでしょうか?
ここからは、そのことについて解説します。

今後のオーストラリア経済について

2月8日に公表した金融政策報告書で、RBAはオーストラリアのインフレ率やGDP成長率の見通しを引き下げたことに加え、大都市圏を中心に下落が続く住宅価格の動向を懸念しています。

実際、経済指標の結果も、昨年の終わり頃から減速の兆候が出始めていることがわかります。

インフレ率についていえば、1月30日にオーストラリア統計局が発表した2018年4Q(10月-12月)の消費者物価指数(CPI)は前年同期比1.8%増となっています。

同3Q(2018年7月-9月)は前年同月比1.9%増だったため、伸びが0.1pt縮小した形です。また、RBAが金融政策決定の際に重視するコアインフレ率は、2018年4Qに関しては前年同期比1.8%となっていて、12四半期連続でRBAが目標とする2~3%を下回る結果となっています。

また、オーストラリアの住宅価格下落も同国経済の不安要素となります。これらのことから、RBAが今後政策金利を引き下げることも考えられるため、市場はそれを意識するとみられます。

なお、今年5月までに行われる予定の同国の総選挙にも注意が必要となります。これまで何度も短期間で首相が変わっているため、仮に与党が敗北した場合も大幅な豪ドル安にはならないかもしれません。

ただ、政権交代した場合の政策変更の内容によっては、豪ドルの下落リスクが生じます。

米中貿易摩擦の影響は?

米中貿易摩擦の動向が不透明な点も不安要素となります。中国は景気減速を食い止めるために景気拡大策を打っているのですが、その効果が出るかどうかはまだはっきりとしていません。

その結果によっては、対中貿易依存の高いオーストラリアも少なからず影響を受けるとみられているため、中国の経済指標が下振れとなった場合は、豪ドルの下押し圧力になるでしょう。

以上のことから、今年の豪ドルは対ドル、対円で売られやすい地合いが続くと思われます。「中国が景気刺激策を打ち出した」というニュースや「米中貿易協議が進展した」といったニュースが流れた場合は一時的に下落が収束するかもしれませんが、米中貿易摩擦が緩和され、中国の経済回復が確認されなければ、この問題が豪ドルの上値の押下げ要因となるでしょう。

ただし、原油価格が上昇した場合は豪ドルの下支え要因になる可能性があります。その場合、豪ドルはレンジを形成することとなるでしょう。

まとめ :豪ドルは下押し圧力が強い

オーストラリアは、住宅価格の下落や次期総選挙に向けての与党の支持率低下など、不安要素を数多く抱えています。

それに加え、最大の貿易相手国である中国が米中貿易摩擦により経済的なダメージを受けており、貿易摩擦解消のため、中国がアメリカからの輸入を増やすことで、オーストラリアから中国への輸出が減少する懸念があります。

また、利下げの可能性が出てきていることから、今後はスワップが減ることも考えられます。

このように、豪ドルを取り巻く環境は不透明です。米中貿易摩擦の動向や住宅価格の下落、経済指標の鈍化による利下げの可能性などといった不安要素が、豪ドルの上昇を抑制することが考えられます。

仮に一部の見通しが明るくなったとしても、一時的な上昇にはつながるものの完全な好転とはならないと考えられるため、基本的には下がりやすい局面が多く、上昇したとしてもレンジになりやすいと考えられます。

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